Fayは、このように油を均一な密度、粘性、表面張力をもつ流体として取扱い、油の広がりを次の三つの段階に分けた力学的モデルを作成した。
第1段階:重力と慣性力による拡散
第2段階:重力と粘性力による拡散
第3段階:表面張力と粘性力による拡散
この段階での拡散は、それぞれ次式で表される。
第1段階 r 〜 (△gVt2)1/4
第2段階 r 〜 (△gV2t3/2/ν1/2)1/0
第3段階 r 〜 (σ2t3/ρ2ν)1/4
△:水の密度と油の密度の差/水の密度
r:オイルスリックの半径
V:オイルの体積
ν:水の動粘性係数
σ:表面張力
ρ:油の密度
また、最終的に拡散を停止する現象についても言及し、次の式を提示している。
r∞=(σ2V8/ρ2νD3)1/8
D:分子拡散係数
これらの考え方をもととしたFayによる油10,000トンを例としての拡散方式の組合せを示すと、図IV. 3のとおりであり、これによると重力と慣性力による拡散が時間のオーダーで起こっており、ついで重力−粘性が日から週のオーダーで続き、さらに粘性−表面張力による拡散が週から月の単位で続く。
図IV. 3 時間の経過と油の拡がり(104m3の油)