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1. 日本に帰国した中国残留邦人の悩み

 

東京都中央区

行政相談委員 藤倉 和男

 

私の担当する地域における、敬老館での特設行政相談所開設は、初めてのことである。三つの敬老館のうち、月島地区の勝どき敬老館に、特設行政相談所を開設した。

来館者1人1人に、リーフレットとティシュペーパーを配りながら、行政相談制度のPRをし、相談受付を案内した。

敬老館で設営して頂いた相談室で待機をしていると、行政相談制度を理解された人が、1人また1人と相談のために来室され、相談者はいないのではの危倶は、払拭された。

相談にこられた人々の中に、中国残留邦人で今は日本に居住するご婦人が、遠慮がちに相談にこられた。近くの都営住宅に住居を得、母子家庭として生活をしているとのこと。そうした生活のなかで、相談したいことがいくつかあるとのことである。

ひとつは、現在居住している都営住宅が、建て替えられるため、江東区内の母子寮に一時移住しなければならない。今中央区の生活保護を受けているが、江東区での受給の有無が心配である。またそれとともに、現在中学生の子供が、やっと友達もでき、学校にも慣れたのに、江東区の学校に変るため大変不安になっている。なんとか現状のまゝを維持できないものだろうか。

また、自分の子供達は在日外国人であり、大きい息子は、一時通訳として仕事についていたが、会社が倒産したため品川区の町工場に就職した。ある日就業につく際、タイムカードの使用を忘れたため1万円の減給扱いとなった。同僚の応援を受け会社に説明をしたが、認めてもらえなかった。また、無理な作業の強要から腰を痛め、「椎間板ヘルニア」になってしまった。3ヶ月の臨時職員の扱いも納得のいかない理由で延長され、正社員になれずじまいであった。このような労務管理が、たとえ小さな町工場とはいえ、勝手に行われている。工場への監督是正措置は、とれないものかというものであった。

日本に永住される思いの、中国残留邦人であったご婦人からの、いくつもの悩みとしての相談事案を受けた私は、いささか驚いた思いだが、外国人の生活環境の厳しさを知った。事案それぞれについては、管区局の担当官のご努力によって、それぞれについてそれなりの解決や結論が実現した。

しかし、申出人が私に語った言葉は忘れられない大切なこととして、私の心に残っている。それは、申出人は中国残留孤児として日本に在住、外国人である子供とともに、日本の生活に早く馴染もうと頑張っているが、日本の法律や諸制度並びに慣習にうとく、苦労しているということである。各行政機関合同の外国人に対する相談室のようなものが、設置できないものかと感じた。

 

 

 

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