しかし、その取り組みにはかなりのばらつきがあり、全般的にはまだ十分といえる状況にはないことが外国人の相談窓口を通じて窺うことができる。また、作成された各種の外国人向けの資料が、果してそれを必要する外国人の手に渡っているかどうかという点からみても、次の例からも分かるとおり、問題を残している。
[事例:外国版の電話帳があると便利]
○A市にはいろいろな外国人用の資料はあるが、まとまった便利帳のようなものは作成されていない。例えば、情報サービス、相談窓口の連絡先、警察、消防、病院などの電話番号を記載した外国人向けの電話帳があると非常に便利だ。(北海道)
[事例:外国人用の案内資料の教示]
○外国人用の案内書のようなものがあると聞くが、その所在が分からない。外国人が定期的に訪れる機会の多い入国管理局や外国人登録の窓口に備付けて積極的に配付するようにしてほしい。(北海道)
外国人向けの資料に関しては、このほかに、「市内地図、交通路線図の英語版のマップを作成・配付してほしい」という要望や、「英語圏の外国人でも理解することが困難な難解な英語版資料がある」「英語版の資料の中に誤った説明になっているものがある」「英語版の資料であるセクションに電話したところ英語の分かる職員がいなかった」などといった苦情例もみられる。
2] ボランティア
国や地方公共団体が外国人を含めた国民や地域住民に対する「公」のサービスの提供機関であるとするならば、その対極に位置するのが「民」側の善意のサービスを提供するものとしてのボランティア活動がある。
日本の行政制度や生活習慣に不慣れであり、かつ、日本語が不自由であるというハンディキャップを持つ多くの在留外国人にとっては、今までにみてきたとおり、例えば、病気になったときに必要となる自国語を通訳してくれる「通訳ボランティア」、急用が発生したときに必要となる「保育ボランティア」、身体が不自由な人が必要となる「介護ボランティア」など、日常生活の中でしばしば支援を必要とする場面が発生している。その一例を挙げれば次のとおりである。
[事例:通訳ボランティアを派遣する仕組みの確立]
○病院に行っても症状を医者に説明できず、また、薬の服用方法が分からなかった。日本語を全く話せない外国人のために、各国語の通訳ボランティアの人材を確保して外国人が安心して生活できるようにする組織づくりをしてほしい。(北海道)
こうした状況にあって、現に数多くのボランティアがさまざまな形で滞在外国人の支援活動に参加しているが、外国人相談の中には、次のように、外国人自らが積極的にボランティア活動に参画したいという意思を示している者も少なくない。