(2) 相談事例からみた外国人相談の特徴と傾向
前項では、いくつかの総合的な外国人相談組織における外国人相談の最近の状況についてみた。
ここでは、前項の外国人相談組織のほか、民間ボランティア団体等のほか管区行政監察局・事務所(以下「管区・事務所」という。)及び行政相談委員の相談活動等で取り上げられた具体的事例についてみていくこととする。
なお、個々の事案については、非常に幅広いものがあることから、行政機関と関わりの深い問題や各相談窓口で取扱いの多い「入出国・滞在」「婚姻・家族」「住まい」「労働・所得」「医療」「福祉」「年金」「教育・文化」及び「行政サービス・ボランティア」に関する分野を中心に整理した。
注:取り上げた具代的事例については、当該事案を取り扱った機関、団体及び管区・事務所等の所在都道府県名を末尾に揚げた。
ア. 入出国・滞在
我が国の国際化が急速に進展する中にあって、世界各国との人的交流の円滑な促進を図る行政対応が求められる一方、その負の部分として、外国人による麻薬・覚醒剤の密売、強盗・殺人事件の多発などが重大な社会問題の一つともなっていることから、こうした側面からの厳しい行政対応もまた求められている。
外国人の入国・滞在・出国については、『出入国管理及び難民認定法』(入管法)及び『外国人登録法』の基本的法制によって管理されている。
入管法では、外国人の「在留資格」「在留期間」「資格外活動」「一時帰国」などの許可制度が設けられており、また、外国人登録法では、外国人の居住関係・身分関係を明らかにするための登録制度が設けられている。
この入管法及び外国人登録法による外国人の入国・滞在・出国管理の仕組みが複雑で、その上厳しい運用が行われていることもあって、外国人相談の中で最も件数の多い分野となっている。
1] 在留資格
外国人が我が国に入国・滞在するには、原則として、入管法に定める27種類の在留資格のいずれかを取得することが必要とされる。しかし、例えば、日本人配偶者の死亡、離婚等によって在留資格が自動的に喪失することがあり、また、在留資格の変更や資格外活動についての許可制度が設けられてはいる。
このため、在留資格に関する相談は、「資格喪失の該当・非該当」「在留資格変更・資格外許可の可否」や「申請手続き」などについての一般的な問い合わせが非常に多いほか、次のような不安や悩みを訴える具体的な事例が多くみられる。