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5-4 音響ホーミング

前述したように航跡の推定値は逐次音響ホーミングによって更新される。

DatasonicsのACU-206ホーミングシステムで音響トランスポンダまでのレンジと相対方位を計測する。このシステムは、耐圧容器内の電子機器部とAUV船首のトランスデューサからなる。氷海下の行動では、音響トランスポンダは重要な地点に氷にドリルであけた穴からつり下げられる。トランスポンダはそれぞれ異なる、インタロゲートと応答の周波数を持っている。ケーブル敷設のミッションでは、8から12kHzの帯域を使う。

通常のミッションでは、あらかじめ決められた地点で、オンボードコンピュータがホーミングシステムを起動し、有るはずのトランスポンダにインタロゲート周波数のパルス信号を送信する。応答が得られれば、質問から応答までの時間と仮定した音速に基づいてレンジを計算する。トランスポンダからの応答信号の位相を受波アレイで計測し、トランスポンダへの方位、すなわち相対方位を得ることができる。計測された相対方位が十分であれば、誘導システムがAUVをトランスポンダの方向に進ませる。また、レンジと相対方位、そしてトランスポンダの位置から、AUVは自身の位置を更新することができる。

北極海は、極度に低い水温(-1.5℃)、溶けることのない氷、未知の海底地形、といった音波の伝搬に大きな影響を与える特異な特性を持っている。こうした伝搬の不確定さのため、テセウスに搭載した音響機器が要求通り使用できることを確認するために、多くの試験が行われた。

周波数、パワーレベル、水深、水平距離を変えて試験が行われた。深海域では5km以上のスラントレンジを達成したが、浅海域では少しレンジは短かった。こうした試験で得られたデータは、すべてのミッションの計画において、特に音響トランスポンダの位置と深度に関係するため、有用であった。

 

5-5 自律誘導機能

Targeting、軌道追従、ホーミングといった3つの異なる誘導制御が可能である。この2次元のコントローラはそれぞれ、設定方位をオートパイロットに与える。詳しくは以下に述べる。

 

5-6 Targeting

Targetingコントローラは直接ビークルを変進点の絶対位置に向かわせる。INUが(通常2秒周期で)新しい位置を与えるたびに、コントローラは現在位置から変針点までの方位を計算する。このコントローラは非常に単純であるから変針点までの方位を計算する。このコントローラは非常に単純であるため、潮流があるような場合には、予想できないような方位から変針点に到着する可能性がある。この可能性があるため、このコントローラは特定の条件かでしか使えない。

 

 

 

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