日本財団 図書館


Schuler振動の発生をなくし位置推定の誤差を抑えるために、慣性航法装置は速度補正をして使用する。このモードでは、ドップラーソナーのような長周期で誤差が有界な特性を持つ他のセンサによって得られる速度を使う。慣性航法装置は速度を決定するためには使われないが、主には姿勢センサとなり、位置の計算をし、正確な方位計として働く。

ケーブル敷設のミッションでのナビゲーションを確かなものにするためには、非常に正確な方位の初期設定が必要である。Honeywellの慣性航法装置のセルフアライメント機能、あるいは、ジャイロコンパスは、方位の初期値の誤差が0.1以下にできる。

INUは地球の回転速度の水平成分を測って方位の初期値を決定する。この水平成分は60から65度以上の緯度では非常に小さいので、ほとんどのINUは高緯度域では方位を決定することが難しい。このINUはどの緯度でも計測が保証されているが、65度以上でのジャイロコンパスアライメントの動作は理論的に分かっているだけであった。ケーブル敷設ミッションの出発サイトは北緯82度以上であるので、INUのアライメント動作を保証するために実地試験をすることが決められた。

1992年と1993年に、アライメントの時間、初期方位、アライメント中のヨーモーメントなどの主なパラメータを変えて、100回以上のINUのアライメントがAlertで行われた。次に掲げるアライメントの手順で初期の方位誤差を0.1度以内にできることが分かった。

(1) 0、45、90、135度以外の方向にINUを向ける。

(2) INUの電源を入れ、初期位置を入力する。

(3) INUをジャイロコンパスアライメントのモードにする。

(4) 外乱が加わらないようにINUを30分以上放置する。

(5) INUを15秒ごとに90度ずつ回転させる。

(6) 外乱が加わらないようにINUを90分以上放置する。

(7) INUをナビゲーションモードにする。

 

5-3 ドップラーソナー

EDO3050ドップラーソナーで、海底が音響でとらえられるレンジに入っているとき(通常、287.5kHzで150から200m)は、前進、左右方向の対地速度を計測する。速度の測定は、非常に正確で、安定性があり、長期間にわたって有界である。この速度は、水平から60度で、船首、船尾、右舷、左舷の4方向のビームを持つフェイズドアレイトランスデューサで得られる。この配置であればピッチとロールの影響を最小限に抑えることができる。海底からの反射波のドップラーシフトを平均化して非常に正確な水平方向の速度を得ることができる。さらに、それぞれのビームの往復時間高度の平均値も得ることができる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION