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ビークルは分割されたアルミ製耐圧容器と、その前後のFRPの外皮で覆われた部分からなる。耐圧容器は、陸上での運搬を容易にするために、6つの部分に分かれている。前方のfree-floodingの部分には、前方障害物探査ソナー、可変バラストタンク、音響テレメトリと音響ホーミングのトランスデューサが収まっている。耐圧容器の中には、数列の銀亜鉛電池、電源装置、オンボードコンピュータ、慣性航法装置、その他ほとんどの’ドライ’の電子機器が入っている。すぐ後ろのfree-floodingの部分には、ドップラーソナー、中周波数のトランスポンダと、ラジオテレメトリアンテナがある(海面での試験の日に使用する)。Free-floodingのぺイロード部分には、光ファイバケーブルのパックと浮力補償のタンクがある。船尾のfree-floodingの部分には、2つ目の可変バラストタンク、低周波数の緊急用トランスポンダと、スラスタ、モータ、ギアボックスがある。

6枚の独立に稼動する翼が、2枚は船首に、4枚は船尾にあり、ビークルの安定性を確保し、ピッチ、ロール、ヨー、深度をコントロールする。船首の翼で、深度とピッチを同時に、ロールを個別にコントロールする。船尾の翼で、深度とピッチとヨーを同時に、ロールを別にコントロールする。

北極海でのミッションでは、光ファイバケーブルは11個のパックが投入前に接続される。それぞれのパックは、直径2mmのケーブル2km分で、1本のケーブルが全長220kmになる。ケーブルはパックの中に同心円上に巻かれていて、弱い接着剤で保持されている。ビークルが前進し張力が2lbを越えると、ケーブルは後方に引き出される。保護のために、ケーブルはチューブにガイドされてプロペラの後ろから出ていく。ファイバが海水より重い場合には、ケーブルを繰り出すにつれてビークルは浮力が増加する。オンボードコンピュータがファイバを繰り出すにつれて、それぞれのパックの周りにある浮力補償のバラストタンクに海水を注水する。

ビークルの開発途中で敷設するファイバケーブルをミッションの往路でテレメトリに使うことが技術的に可能であることがわかった。このことは非常に有用であった。

Fig.2は氷海下のミッションに先だって氷の穴に投入されるテセウスの写真である。

 

 

 

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