一方、Table3は「てしお」での実船試験時に計測された各試験でのトルク変動成分の最大値を示す。この表より、直進航行試験時のトルク変動成分の最大値は出力4/4の時で1.4×105Nm(14030kgfm)、協調砕氷航行試験時の最大値は1.8×105Nm(18589kgfm)であり、模型実験からの換算値に近い。Fig.18にこの2点を加えた。
実船のプロペラ回転数は4.77rps及び4.62rpsで、模型実験の約1/2である。模型実験結果によればFice成分については、比較的回転数の影響は少ないと考えられるが、Finertia1成分は回転数に比例すると仮定すれば約2倍大きめの予測となっている。一方、模型試験での氷片サイズを実船に換算すると、54cm×54cm×16.3cm となり、縦横のサイズは現実的であるが、氷厚が実海氷での約 1/2となっている。プロペラ回転数と氷片サイズ両者の影響が相殺して、実船換算値が実船試験の値に近くなったと考えられる。Finertia1成分が尺度の4乗に比例するという仮定には根拠があり、模型実験から実船の値への変換の第一次近似式として使用できると考えられる。