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6. トルクに関する模型実験と実船実験との比較

 

6.1 砕氷型巡視船「てしお」の模型プロペラ実験

前章でのトルクに関する尺度影響を、模型実験と実船実験の結果とを比較し、検証することとした。実船によるプロペラと氷片との干渉時のトルクデータは、平成7年度に実施した砕氷型巡視船「てしお」での実船試験時のデータを用いることとした。このため、「てしお」の模型プロペラを用い、水中、空気中での氷片流し込み実験及びブロッケージ実験を行い結果を各荷重成分に分離した。

使用した模型ノズルプロペラの縮尺は1/10.889であり、全ての実験は回転数10rpsで実施した。また、流し込み実験に用いた氷片の形状は50mm×50mm×15mmで、NSR小直径プロペラで用いたものと同サイズである。模型プロペラは可変ピッチであるが、実験はすべて、開水中の標準ピッチ比である 1.424で行った。

Fig. 16、17は、J=0.20の時のKTおよび10×KQの値を各荷重成分に分離した結果である。先の実験と比較してFiceの占める割合が比較的小さい。原因として、NSRプロペラが翼端で最大翼長を持つのに対し、「てしお」のプロペラは0.8r付近に最大翼長を持つといったプロペラ形状の違いなどが考えられるが、今後の研究が必要であろう。

074-1.gif

Fig.16 氷荷重成分への分離結果

「てしお」模型(スラスト)

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Fig.17 氷荷重成分への分離結果

「てしお」模型(トルク)

 

 

 

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