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Fig.14 Finertia1、Finertia2、Fhydro成分とn(スラスト)

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Fig.15 Finertia1、Finertia2、Fhydro成分とn(トルク)

トルクでのFiceおよびFinertia1成分の理論的考察

砕氷船のプロペラ設計において最も重要であるFiceおよびFinertia1成分に焦点を当てて、理論的考察を行うこととする。

 

5.1 Fice成分に関する考察

プロペラの回転数が低い場合は、氷は圧縮破壊し回転数が増すにつれて破壊のモードは剪断へと移っていく。今回の模型実験の場合、氷片が破壊する最低の速度でプロペラ翼は氷片へ貫入しており、このときは圧縮により破壊していると仮定できる。そこで、氷片の破壊が純粋な圧縮によって行われたとして、そのときに生じるFiceのトルク成分をJagodkinの方法に基づいて考察した。なお、氷片は弾性がなく、翼が氷片を切断する間、氷片は動かないものと仮定する。

いま、wを0.7rでの翼幅w0.7の氷流入方向への投影幅とすると、以下の通りとなる。

w = w0.7sin |αpv| (2)

ここで、0.7rでのピッチ角αpおよび前進角αvは、Pをピッチ、Vsをプロペラ前進速度として、以下の式で表される。

αp = arctan(P/2πR0.7) (3)

αv = arctan(Vs/2πnR0.7) (4)

氷片の厚さをh、氷片の圧縮強度をσcとして、翼は氷片と接触した部分ですべて圧縮によって氷を破壊すると仮定したときの荷重Fは、以下のようになる。

F = σchw = σchw0.7sin|αpv| (5)

従って、トルク成分QIは以下のように表すことができる。

QI = σchR0.7w0.7sin|αpv| (6)

この式が最小値をとるのはαpvのときで、式(6)で無視した翼厚を考慮すると、以下のようになる。

QI = σcht0.7R0.7 (7)

 

 

 

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