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4. 実験結果

 

4.1 高速度カメラでの観察

水中及び空気中において圧縮強度を変化させた氷片を翼と衝突させて、衝突後の速度を高速度ビデオで解析した。この結果、衝突後の速度に対する氷片の強度の影響は非常に小さく、慣性力であるFinertia1とFinertia2に対する氷片の強度の影響は無視できるという結果を得た。

一方、水中流し込み実験時には、86.9%で氷は翼の前縁で接触した。そこで、時間のかかる高速度ビデオによる衝突位置の確認を省き、実験点数を増やして実験精度を高めた。空気中流し込み実験の値は氷片接触位置の影響を強く受け、かつ前縁には36.1%しか衝突しないため、所縁に衝突したときの値のみを抜き出して解析を行った。

 

4.2 実験結果

700ケース以上の実験を行った。Fig.4と5に典型的な実験結果を示す。トルク、スラストのピークは氷圧縮強度の増加とともに増加しており、分離の前提条件が満たされている。他の成分の残差として最後に計算されるFinertia2の値が、他の値と符号が異なる場合もあるが、Finertia2の値は非常に小さいことから、この成分分離方法の誤差の大きさを表す指標としてそのままとした。

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Fig.4 氷圧縮強度とスラスト

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Fig.5 氷圧縮強度とトルク

(1) Fice成分

Fig.6、7は、回転数を一定とした場合の、Jの変化に対するFice成分の傾きの変化の例である。Fig.2に示したように、Fice成分は氷片の圧縮強度のみに比例し、圧縮強度ゼロではゼロになると考えられる。したがって、Fice成分の傾きは同じ圧縮強度でのFiceの大きさを表す。スラスト、トルクに対するプロペラ直径の影響は大きい。今回の実験で採用したJは、0.08から0.12とその範囲も狭く、Fice成分に対する影響はあまり認められなかった。

 

 

 

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