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6. 港湾施設・水域調査ユニットの経済および技術的評価

 

3年間にわたって実施してきた調査ユニット実用化の調査研究の成果として、調査ユニットの実機概要をまとめ、実海域において実験を行い、データインテグレーションのシミュレーション結果を示した。

ここでは、調査研究の成果について技術的、経済的および総合的な評価を行う。

 

6.1 技術的評価

 

(1)本調査ユニットは、従来から実績の豊富な「気中部の写真計測」と最近急速に進歩発展した「水中部のマルチビームによる測量」を組み合わせて実現したところに最も大きな特徴がある。

 

(2)特に気中部では、従来航空測量で行われてきた写真計測を船から実施した。その際、RTK-GPSを用いてリアルタイムで位置データを取りこみ、当初はスチルカメラを用いたためトリガ信号を入力してから機械式のシャッターが下りるまでの時間遅れの問題が生じたが、デジタルカメラを用いることで解決した。達成できる精度は、±10cm以内である。

 

(3)気中部と水中部を同時に測量できるため、港湾施設・水域の測量装置として用いることができる。気中部も水中部も面としての測量が可能なため、これらを合体させ(データインテグレーション)そこから容量の小さなワイヤメッシュデータとして抽出し、これをPCの記憶媒体に保管し、かつ現在急速に発展している画像技術を用いて港湾施設・水域の任意の断面形状をPC画面上に描くことができる。そのため通常時の画像と被災時の画像を重ね合わせて、その変状を容易に視覚で確認できる。これが急速な被災状況の把握を可能としている。

 

(4)本調査ユニットの構成は、デジタルカメラ2台とマルチビーム超音波測深機1台と、これらを支える支柱及びデータ取りこみ・処理用のPC2台である。そのため車・飛行機・船のいずれでも運搬可能でかつ、前述のように専用船を必要とせず、既存の小型船舶に搭載できるため、どこでも使うことができる。

 

(5)本調査ユニットは簡便にどこへでも運ぶことができるため、通常時のメンテナンス時のみならず被災時にも陸上の道路等交通事情に左右されること無く測量ができる。

 

 

 

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