動揺補正装置のデータは、GPSのUTCに基づいたタイムタグを付与されたデータとして記録され、ソナーシステムのソナーヘッドの傾き等を算出するのに用いられる。動揺補正装置からのデータ取込例は、添付資料1の図4.1.12、図4.1.13に示されている。(データ更新レートは約20HZ)
また、3.2.1章の海上実験の解析結果から、カメラ画像から算出した角度データと、動揺補正装置の計測した角度データの差が大きいことが明らかとなった。
この誤差には、以下の要因が考えられる。
・座標系の違いによるオフセット
海上実験時のカメラの相互位置の座標は、金具の写真計測を行い、金具上面を座標平面として定義しているが、他方、動揺補正装置は計測前に初期化を行い、重力直下を原点として認識する動揺補正装置と角度の原点がずれてオフセットが発生している可能性がある。
・データの時間遅れ
動揺補正装置のデータを収録しているPCのOSはWindowsで疑似マルチタスクであるため、データ書き込み時に数msの時間遅れが生じる可能性がある。
また、時間同期を取るGPSの生データの入力に2.34sec程度の時間遅れが発生するため、データ収録PCの付与するタイムタグとUTC時間とを関連づける際に厳密さが損なわれ、数msのズレが生じる可能性がある。
これらの誤差の解消のために、実機システムにおいては、以下の改善が望まれる。
・座標系の誤差について
実験に使用したドリフト補正機能付き動揺補正装置は、ソナーヘッド以外にも、もう1ヶ所(同時に2ヶ所)の動揺時の位置計測ができる。金具に固定されたデジタルカメラの位置を正確に把握し、オフセット値を事前に入力しておけば、カメラの姿勢をリアルタイムで計算することが可能である。
・データの時間遅れ
ドリフト補正機能付き動揺補正装置の最新バージョンは、SCSIもしくはイーサネットを用いてPCと接続ができ、最大200Hzでのデータ出力が可能となっており、この場合1PPS信号の入力も可能であるため、時間遅れのないデータが取得できる。
従って、角度情報が重要なカメラ位置計測については、ドリフト補正機能付き動揺補正装置の最新バージョン採用により、より高精度な位置計測が可能となり、精度の向上が見込まれる。