4]環境対策
実験では、環境による精度への評価を行うことはできなかったが、災害時の使用を考えた場合、計測を行うか否かは別として、システムの降雨、温度変化等への対応を準備しておく必要がある。
3.4.2 今回のシステムにおける要開発項目
調査ユニットの実機設計を行う上で、3.4.1で述べた問題点を解決していく必要がある。中でも計測精度については、実験結果のデータ解析の比較対象として、通常の三角写真測量とGPS写真測量を比較しており、双方の誤差は「GPSと慣性センサーを用いた位置・姿勢の算出精度」の誤差と考えることができる。従って、調査ユニットをより実用的なものとしていくためには、位置・姿勢の算出精度を高めるとともに、カメラを固定している座標系を確実なものとし、カメラで取得した画像の空間再現性を高めることが必要である。そのため、以下の項目について改善を進める必要がある。
(1)取り付け金具の改善
今回の実験の解析結果から、Roll、Pitch、方位のデータの誤差が大きく、その主要因としては、金具によるカメラの振動があげられる。
これらのデータ誤差は、岸壁の計測精度に大きく影響するため(今回のカメラの要目においては1degずれると8m先の目標物の位置は14cmずれる)、Roll、Pitch、方位のセンサーからのデータが、カメラの角度のデータとして使用できるように、金具全体の剛性を高めて、カメラと取り付け金具が個別に振動しないようにすることが重要である。
(2)デジタルカメラの適用
システムの構成機器としてデジタルカメラの適用を考えてきたが、システムの運用を考慮すると、岸壁から10m程度の距離から撮影した場合、カメラの撮影範囲は(使用するレンズにもよるが)およそ3mである。調査船が6knotで航行した場合、カメラのシャッター間隔はおよそ1秒/枚毎にする必要がある。
これまで使用を検討してきた汎用品の600万画素のデジタルカメラは、PC(PersonalComputer)からの制御は可能であるが、データ転送に時間がかかり、システム運用面で必要な1秒/枚以上の速度に対応できない。そこで、工業計測用のデジタルカメラについて調査したが、600万画素の製品はシャッター装置が1/1000以下に対応できず、シャッターの反応時間も不規則になることが判明した。このため、調査ユニットに適用可能なデジタルカメラは600万画素クラスのものはなく、400万画素の工業計測用のデジタルカメラであれば適用可能ということがわかった。
このカメラは、白黒画像で400万画素を実現しており、通常のCCDカメラのように、単体では画像の記録はできず、今回のシステムに取り込むためには、シャッター機構付きレンズと画像取り込み用のボードを組み合わせることによって、初めて適用が可能となる。