・画像取込制御の時間遅れ
実験装置では、GPSからの1PPS信号を受信してシャッターを切るように制御したが、制御ソフトから1PPS信号のフラグを確認するタイミングが10ms周期であるため、不規則な時間遅れが発生する可能性がある。
2]取り付け金具
マルチビーム超音波測深機とカメラを固定した取り付け金具が強度的に弱く、カメラが大きく振動する状態が観察された。この振動の大きさが、動揺補正装置から出力された角度・方位データと、画像データから算出したカメラの傾き、方位データとの大きな差異の原因と考えられる。
(2)運用における問題点
実験結果から、以下に示すような運用における問題点が明らかになった。
1]撮影対象の明るさ
岸壁を撮影した写真を現像した結果、岸壁のり面と海面の明るさが大きく異なり、どちらかに合わせて現像を行った場合に、他方の画像がうまく判別できない現象が発生した。よって、実際の岸壁撮影時には、岸壁が明るい場合はレンズに遮光フィルターをかぶせ、暗い場合にはのり面に照明を当てる等の対策が必要である。
2]GPSデータの後処理
今回取得したGPSデータは、RTKを用いた1sec間隔の測位データのみであった。これを、後処理のキネマティックGPS測量を併用すれば、データ品質の情報等も含めた、最大20Hzの測位データとしての表現が可能であり、船位データの細かなプロットが可能となる。また、事前に衛星数およびPDOP(Position Dilution of Precision)の状態を把握しておき、良好な条件下で計測を行うようにすることが必要である。
3]システムの計測特性の把握
スチルカメラを使用し、シャッター制御に無線装置等を使う場合には、かなりの時間遅れが発生することが明らかとなった。これらの時間遅れを予め明らかにしておき、不確定な要素をできる限り入り除去しておくことが必要である。また、温度依存性等の要素があれば、これを把握しておくことが必要である。