3.4 調査ユニット各構成機器の開発設計
3.2章に述べた海上および陸上でのデータ取得実験の結果から、実際のデータの取得状況と、カメラ位置等の計測精度を解析することができた。
ここでは、実験の解析結果に基づいて、調査ユニットの目的である港湾構造物を計測する際の要求精度を実現するにあたっての問題点をまとめるとともに、システムの仕様について検討を進め、より実用的なシステムとするため、開発項目の抽出を行った。
3.4.1 海上実験における問題点の抽出
データ取得実験では、画像データから算出したカメラ位置と、GPSデータから算出したカメラ位置を比較して、計測精度の確認を行った。
調査ユニットを実用化する上で、システムの精度向上が重要であり、誤差の要因を明らかにし、それについての対策を立てる必要がある。誤差要因は大きく分類すると、ハードウェアによって対応が可能なものと、運用方法を工夫することにより対策が可能な問題とに分けることができる。
(1)ハードウェアにおける対策
実験では、気中部のデータ取得機器にスチルカメラを使用し、1PPS(PuIse Per Second)信号によりカメラのシャッター制御を行った。このハードウェア構成と制御方法について、以下の問題点があることが明らかとなった。
1]撮影に用いたスチルカメラ
実験に用いたスチルカメラは、測量用のカメラではなく、通常の一眼レフカメラにモータードライブとシャッター装置を取り付けて使用したため、以下の問題点が発生した。
・撮影時のフィルムのゆがみ
測量用のカメラでは撮影時にフィルムがゆがまないようにフレームに圧着する仕組みとなっているが、今回使用したカメラでは圧着されているはずのフィルムが、ゆがんでいる可能性がある。
・現像時のフィルムゆがみ、延び
測量用のカメラでは、写真現像時のフィルムの伸びやゆがみを補正するために四角いフレームを目標物とともにフィルムに写し込むが、使用したカメラではフレームを写すことができず、写真の四隅を正確に特定し、補正することができない。
・スキャナー取り込み時のズレ
デジタルデータ化するために現像された写真をスキャナーにて読み込んだが、この読み取り時の角度により、画像が傾く可能性がある。