3.2.2.2 データ解析
今回の実験結果として、目標物座標、スチルカメラによる画像データおよびGPS測位データを得た。このデータを用いて以下の解析を行った。
(1)画像データから算出したカメラ位置
表3.2.2.1に示したケースのうち、移動速度と、移動方向の異なる3ケース(C2、C5、C8)から、同様の場所を撮影した連続する3つのモデルを抽出し、画像データの基準点からカメラ位置を算出した。
(2)GPSデータから算出したカメラ位置
写真計測を行ったGPSアンテナの位置との比較を行うべく、GPSの測位データから、カメラのシャッター遅れ時間(0.088sec)を補正し、位置を求めた。
3.2.2.3 実験結果の解析および考察
画像データ画像から算出したカメラの位置と、GPSデータから算出したカメラ位置の比較を行うた。これらの差異をまとめたものを表3.2.2.2に示す。
3.2.2.4 陸上実験の計測結果および考察
陸上実験結果によると、画像データから算出したカメラの位置と、GPSデータから算出したカメラの位置計測精度は、±50mm程度であることが明らかとなった。これは、基線長の誤差に代表される写真計測による誤差(評定算差)と、1pps-oxの信号を確認する時点で、補正すべき0〜10msの時間遅れがあるためと考えられる。また、今回の精度評価は計測対象の1モデル毎について評価したものであり、連続した岸壁については、各モデル間で共通のポイントを指定しつつ連続したモデルを構築するため、誤差は全体的に補正される。
今回の実験結果から、振動と動揺の影響が少ない陸上部のデータの計測精度については、海上実験結果と比較して精度が向上していることが明らかになった。また、次の点が重要であることが確認された。
・システムの時間遅れの正確な把握
・振動しないカメラの固定方法
・基地局をなるべく近傍に設置し、後処理を基本とするGPS測位
これらの成果を実機作成時に十分留意してシステムを構築し、より実用的なシステムとしていく必要がある。