3.1.2 調査ユニットの仕様
調査ユニットは、現状調査に基づいた要求機能を考慮し、港湾施設を海上(船舶)から、水中部と気中部について、同時に3次元の形状として測量するためのシステムとして設計する。
本調査ユニットにより、非常時は海底部の状況、水深、岸壁の移動量、ひび割れ等を一体として迅速に計測することができ、被災した港湾施設の使用の可否、復旧作業に有用なデータの提供を可能とする。
また、平常時は本調査ユニットにより港湾施設の平面形状図を作成し、地図データとして、港湾施設の維持・管理を行うデータベースの基に用いることの他に、水中部も含めての形状検査や、港湾工事における捨て石均し等の管理に活用することも可能な仕様とする。
3.1.3 調査ユニットの計測対象・要求精度
本調査ユニットは地震等の災害があった場合に、被災状況を迅速に調査する機能を持つものとして、仕様の検討を行ってきた。その調査対象としては、航路、泊地を含む水中部と大型公共岸壁および物揚場、防波堤等があげられる。
実際に、阪神・淡路大震災の発生後に最初に行われた調査は、航路、泊地等の水域の安全性(障害物の有無)の調査であり、次に行われたのが、健全性の評価も含めた岸壁の調査である。また、これまで発生した地震災害等のあとの調査において、常に重要なデータとして岸壁の変位が計測されており、阪神・淡路大震災では、数十cmから数mの変位が観測された。従って本調査ユニットは災害発生時に、調査対象である航路、泊地を含む水域の障害物の有無と、岸壁等の変状と健全性を知るためのデータとしての構造物の変位量を10cm程度の精度で計測可能とする。
また、非常時の機能だけでなく平常時の活用が実用化を図る上での大きなポイントとなる。現状調査の結果、平常時の港湾管理の問題点として、管理対象の施設は増加する一方であるのに、管理費、補修費ともに削減される傾向にあることが挙げられており、効率的な管理への要求が強かった。また、これら施設の水中部に対してもより簡単に調査を行いたいとの要望も多かった。
ここで再度確認してきた調査ユニットの機能仕様について、実際の実験等を含む検討を進め、要開発機器の開発項目を明確にするとともに、開発設計を行った。