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G3. 航走波の周期と波高の推定

揺れない浮体構造物の研究で対象としている浮体にとっては、港内を航行する比較的小型の船舶による航走波が問題となる。水槽試験データとして計測例があるのは大型船が多く小型船のデータは1、2例しかないが、小型船に着目してデータを整理し直す。

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なお、小型船で高速走行時に船首が浮き上がって滑走状態になる船は、船速に対する波高増加が頭打ちになることが知られている。すなわち、(5)式は滑走状態は除いた場合の関係である。

この結果を基に、数種の船長Lppについて、波高と船速の関係を示したものが図G9である。航行船サイズとして船長Lpp=10〜50m、通常の港内航行船速としてV5=12kn程度以下と考えると、図G7及び図G9より、航走波の周期は4秒以下、最大波高は1m以下程度と推定できる。

 

G4. 航走波による浮体動揺

航走波は波群性のある一過性の波であるため、これに対する浮体動揺は風浪に対する不規則波中応答での評価とは少し趣が変わる。むしろ、過渡水波あるいは数波の連なりからなる規則波の波群中での浮体応答として扱うべきである。安全側の評価をすれば規則波中の応答振幅で最大動揺量を推定すれば良いと考えられる。揺れない浮体構造物を採用した場合、規則波中の波周期4秒以下のRoll応答は極めて小さいことが分かる。

 

 

 

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