日本財団 図書館


E2.4 TMD制振装置

浮体のRoll運動に対応するためRoll運動の中心から両側に張り出したキャンチレバーの両端に取り付けられた重錘(おもり)が、中央でヒンジ支点により浮体に取り付けられ、おもりと中央のヒンジの間にバネ及び減衰器(オイルダンパー)を配した構造である(図E2.5参照)。

 

071-1.gif

図E2.5 TMD概要図

 

TMD(Tuned Mass Damper、動吸振器)は、浮体構造物に対して、おもり、ばね、オイルダンパーからなる振動系を、制振しようとするモード(この場合はRoll運動)と連成(共振)するような振動数を持つように調整して付加することにより浮体に減衰を付与するものである。共振状態にある2つの振動系(浮体構造物とTMD)は互いに速度の位相が90°ずれるために、浮体のRoll運動を打ち消す方向にTMDのおもりは振動する。浮体のRoll運動の振動エネルギーの一部は、おもりの振動エネルギーに変換され、これがオイルダンパーにより消費される(オイルダンパー内で熱エネルギーに変換される)。

このようにして、浮体にTMDを付加し、共振させることにより浮体に減衰を与え、浮体のロール運動を軽減させることができる。その効果は、おもりが大きいほど(重いほど)、またおもりの振動振幅が大きいほど大となるが、実用上は浮体内部のスペース、浮体に付加できる重量などにより制限を受ける。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION