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E2.2 SLO-ROLタンク

浮体構造物喫水下の両舷に張り出したタンク、これらを結ぶ空気ダクト及び空気流を制御するバルブを有している。空気ダクト内には圧縮空気を入れてタンク内水面を押し下げ、喫水より低い位置に水面がくるようにしている。

SLO-ROLタンクの原理を図E2.2に示す。図は横断面図を示しており、静止状態では浮体水面下に作用する水圧と浮体の重量がつり合った状態になっている。

浮体構造物がRoll方向に傾斜した場合で、空気ダクトのバルブが閉じられたときには(図E2.2の(2)の状態)左右舷の各タンクはそれぞれ独立した状態となっている。この場合、右舷側が下がる方向に傾斜した状態の左右舷の浮体及びタンクに作用する静水圧は、右舷側で上昇し、左舷側で低下する。この左右舷の圧力差によって傾斜を元に戻す復原モーメントが発生する。

一方、空気ダクトのバルブが開かれた状態(図E2.2の(3)の状態)、すなわちSLO-ROLタンクとしての本来の機能をさせる状態では、左右舷のタンクの空気圧は一定に保たれるため、左右舷のタンクの圧力に差がほとんど発生しない。そのため、バルブ開の状態ではバルブ閉の状態に比べてRoll傾斜を元に戻す復原モーメントが小さいことになる。

復原モーメントが変わることにより、Rollの固有周期が変わることになるが、SLO-ROLタンクのバルブ閉・開の場合で下表のようになる。

 

表E2.2 SLO-ROLタンクの効果

067-1.gif

 

すなわち、SLO-ROLタンクの効果によって、設計条件として考えている4〜6sec程度の波周期域からRoll固有周期を離すことができるため、Roll応答を低減化できる。

なお、SLO-ROLタンク解析法を付録F(P71)に示す。

 

 

 

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