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D3. ISO基準

ISOでは各国の研究報告を集め、乗り物や機械類の振動が人間の快適性や作業能率に及ぼす影響を評価して、その限界を定めるための指針を「全身振動暴露の評価に関する指針」(ISO2631)としてまとめている。この評価指針が対象とする振動の周波数単位は1〜80Hzである。

振動の人体への影響を評価する場合の判定条件を1] 作業能率の保持(疲労・能率減退境界)、2] 健康や安全の保持(暴露限界)3] 快適性の保持(快適減退境界)とし、疲労・能率減退境界を示して暴露限界はそれより6dB増加、快適減退境界は10dB低減することによって評価している。

図D3.1は鉛直方向の限界加速度を、図D3.2は水平方向の疲労限界を示す。鉛直方向は4〜8Hzで限界加速度の値が低くなり、水平方向では2Hz以下で限界加速度が低くなっている。

1Hz以下の振動は、動揺病と関連する特殊な問題であるので、この評価指針とは区別して別に規定されている。図D3.3はISO2631補遺案として0.1〜1Hzの範囲についての基準案が提案されたもので、成人健康男子の10%が動揺病にかかるであろうというレベルを表示したものである。

これによると、周期約3秒以上で100Galの加速度の場合、暴露時間限界は30分であるということになる。

 

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図D3.1 鉛直方向の限界加速度

 

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図D3.2 水平方向の疲労限界

 

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図D3.3 0.1Hz〜1Hzの範囲の基準案

 

 

 

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