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Charles Evanceとの質疑応答の中で、揺れない浮体研究の1手法である屋根に水タンクを設置したスロッシングダンパーの話をしたところ、言葉の問題もあるが、それは制振ではなく逆に振動を助長するものだといって、最後まで理解させしてもらえなかったので、やむなく帰国後このダンパーに関する資料を送ることにした。

 

5. 西シアトルスイング橋 West Seatle Swing Bridge

ワシントンこの浮体橋の視察後、是非見せたい橋梁があるということで案内して頂いたのがWest Seatle Swing Bridgeである。この橋梁はシアトル市が建設管理しているプレストレスコンクリート製の旋回可動橋であるが、我々二人のために一時交通止めして橋梁の旋回を実演して頂いた。約10分ほどの交通どめとはいえ、航行船舶も無い時にいとも簡単に交通止めするなど日本では考えられことであり、この斬新な橋梁を建設したことに対する誇りと、これを内外にPRしていきたいという熱意を感じた次第である。

この橋梁の特徴を以下に示す。

・航路を挟んだ二つの橋脚上のPC桁(各々約8,000t)が油圧装置によりジャッキアップされ水平旋回する。

・円筒サイロ型の橋脚の中にはPC桁の押し上げ、水平旋回のための油圧ジャッキシステムや自家発電設備が組み込まれている。

・本橋の直ぐ横には管制塔が設置されており、この塔の上の管制室で橋梁開閉に当たっての通行車に対する予告、信号切り替え、遮断機の開閉など一連の操作が行われる。

・これらの操作はほとんど自動で操作パネルも非常に見やすいシンプルなものとなっており、開閉操作と可動システムの維持管理は女性を含む3人の8時間交代でやっているとのこと。

・1回当たりの一連の開閉作業に要する時間は平均で約10分と非常に短い。また1日当たりの開閉頻度は10回程度で、その操作実績もパソコンで自動記録される。

 

6. フッドカナル浮体橋 Hood Canal Bridge

翌日、運輸局のご厚意で長距離の駆け足ドライブではあったが、ピュージェットサウンドをほぼ1周してフッドカナル浮体橋をご案内頂いた。

この橋梁は1961年に完成した浮体橋(図2参照)であるが、海上橋であるためにポンツーン上面がそのまま道路面のワシントン湖の浮体橋と異なり、風波による飛沫の影響を低減するために、ポンツーンの上に設置した橋脚上に橋桁を載せた構造で、道路面は海面上6mの高さに位置する。

また大型船舶や特に潜水艦の航行のために、水深の大きな橋梁中央部に長さ183mの引き込みスパンが設置されている。

なお本橋は1979年に再現確率が500年に一度の極めて希な大暴風により重大損傷を受け、西側の約半分は1983年に再建された。

 

 

 

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