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世界の偉大で最後の資源である海洋は必然的にこういう変化に影響を受けてきた。我々は陸における空間と資源を使い果たしてしまったから、陸をべースとした関心を外へと海洋に拡大しているのである。過去において海洋は、基本的に膨大な魚介類を提供したり、国家間の海の道脈として人間の生活を支えて来た。また海洋は闘争の場になる時もあるが、普通、海は一体化した人類に比べればむしろ分かれているものである。あらゆるものがそうであるように、海洋も変わってきており、なおも注目に値するチャレンジの様相を見せている。しかし、今は、征服の観点から観る海ではない。現代的な海洋法は、海洋が一体になるか、それとも分裂するかという選択と共に、地球的なコミュニケーションの在り方を意味しており、残されていることは、海そのものの神秘を科学的に解明することである。

 

第3回国連海洋法会畿(UNCLOS−III)は、世界的な法律改革として最も野心的試みであった。しかし、それは予期以上の影響があった。それは確かに、包括的に政策的行動を暗示しながら、海洋のための管理規定を発展させる初めての現代的な試みであった。ウィーン大会(the great Congress of Vienna)では、19世紀におけるもっと小規模の国家集団の管理についてまとめたが、第3回国連海洋法会議は、もっと複雄な現代世界における海洋と沿岸国のために国際関係の規定を提供しようとした。国連海洋法条約の導入部分では次のように明確に述べられている。

 

国連海洋法条約は多面性を有しており、条約制定過程における国際的な協力の記念碑に相当するものである。即ち、海洋法のための新しい、包括的制度を苦労を覚悟で仕上げる必要は認められていた。そして国際社会は、条約の座史に前例のない作業として、この覚悟に協力する総意を表明した。国連海洋法会議の綿密さをみると、海洋空間を管理する適切で、正当な国際経済秩序の達成努力を通じて、真の普遍性を築こうとする意図を理解できる。

 

 

 

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