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6 海賊の危険地帯

 

被害地域の説明には、各地域毎に事件発生の政治的、経済的な原因を簡単に要約することが最も適切である。資料は1998年1月から99年3月までに起きた件数である。19)

 

(1) 香港・海南島・ルソン島の三角地帯:8件(図−1「東南アジアにおける海賊」参照)

証拠として、海賊が中国の航行安全部の制服を着ている例がある。その上、海南島地域の港のハイジャックと国旗の乱用(re-flagging)は悪名高く、治安の悪さと公務遂行意欲が余りないことでRPC指導部は、中国を海賊扇動の廉で告訴するようになった。この地域は以前より平穏になっているが、1991〜1993年間では全世界の発生件数の半分を占めていた。

 

(2) フィリピン:115件(図−1参照)

海賊はしばしば漁船を乗っ取ったり、乗客からフェリーを略奪する。この海域では暴力と凶悪性が大変高いが、特にスルー海がひどい状態である。

 

(3) インドネシア/マレーシア:69件(図−1参照)

13,000個の島から成る弓状のこの地域は、海賊に格好の避難場所を提供しているために、世界で最悪の地域(1991年には単独で200件を越えている)になっている。マラッカ海峡、ロンボック海峡及びスンダ海峡(インド、太平洋、南シナ海のハブ)はもともと悪い状況であった。「狭い海」は隠れやすい(一日の通航船舶約400隻)。しかし、インドネシア海軍の独自のイニシアティブとRPCの多様なイニシアティブによって状況は改善されつつある。

 

(4) シンガポール:11件(図−1参照)

この停泊地は夜間頻繁に海賊の襲撃に遭っていて、極端に慌しい港である。

 

(5) スリランカ:14件(図−2「インド亜大陸の海賊」参照)

この地域の海賊行為はスリランカ当局とLTTE (Liberation Tigers of Tamil)との内乱が転化拡大したものである。政府軍は、LTTEの基地を根拠地とする脅威に対して能力を消耗しており、海賊として動いているTigersと戦う力を失っている。海賊による運輸会社の損失高は、年US20兆ドルに上る。(報告された事件のみ)Tigersは、反体制活動の支援目的でその品物を盗むための船舶を時々引き受けている。例えば、スリランカ政府は、LTTE奇襲隊が使用したかも知れない武器が積まれてる恐れで、Tigersが引き受けた商船を爆破させなければならなかった。

 

(6) ソマリア:11件(図−3「東アフリカの海賊」参照)

この地域は、1991年にあった独裁者故Mohammed Sied Barreの敗退以来、信頼できる中央政府がいない未開発国である。海賊たちは多かれ少なかれ自由勝手に暴れまわっているし、大変暴力的で迫撃弾や手榴弾のような乗組員用武器を使用している。彼らはソマリア沿岸警備隊として自分を偽って言う。もしかしたら堕落した行政官が地域の海賊行為の存続を支援しているかも知れない。最近の軍司令官であMusa Sudi Yalahowは、地域の秩序維持のための努力を何一つやっていなかった。

 

 

 

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