日本財団 図書館


最後に、今日の海賊襲撃時の凶悪性は過去より遥かにすごいものになっていることを指摘しておく。使用されている武器も困ったことにますます高度なものになっているのである。伝統的なナイフが主に使われてはいるが、自動操作式の武器や乗員用の肩撃ち式の迫撃砲やミサイルに替えられつつある。東南アジアでは、このような武器は、アフガニスタンとカンボジアにおける紛争の終結によって過去十年間に製造された利用可能な兵器の剰余分として容易に入手できる。16)のちに(表−2参照)もっと詳しく述べることになるが、破壊力の増大傾向は海賊行為の最も懸念されることの一つとして、今後とも心配なことである。以上、海賊行為の分類及び一般的な特徴を考察してきたが、次に海賊行為と最も関連ある一部の統計表を簡単に検討してみたい。

 

5 増加する海賊事件

 

表−1では、1998年の発生件数は1997年より少なくなっていることが判る。このような減少は、海賊の危険性に対して船主と船長達の意識が高くなっていること、そして、事件に晒される危険を減らすために自己防衛措置を採ったことによると、RPCは述べている。その措置とは、危険地域の岸から沖あいに航路を変更すること、見張員の増強、上甲板の監視システムのような方策である。これは小規模の運送業者にとっては高く付く処置かも知れない。

 

表−1:ICCの年刊報告書(1998年1月−99年3月)及び過去の報告書17)

004-1.gif

 

表−2は、凶悪化傾向と、今日の海賊事件に関わる強盗行為を特に注目している。残念ながらも海賊事件の発生率が望ましい減少を示しているにも拘らず凶悪性が増加していることを示している。

 

表−2:ICCの年刊報告書(1998年1月−99年3月)及び過去の報告書18)

004-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION