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重要な一般的な流れは、イデオロギーの調停過程で生まれたものであった。例えば、会議が暗黙に認めていて全ての国が参加する権利、それは平等性に基づいていて、そのほとんどが討議事項の技術的な側面に関してあまり熟知していなくても、国に影響を与え得る経済的、財務的問題を議論し、解決する際の権利なのである。その法人組織に近代的漁業能力が欠けているとか、海底採鉱に関連したあらゆる作業活動の段階をこなす技術的な能力が欠けているという理由だけで、その会議から排除されたり、参加する権利を奪われる国はいない。それどころか、先進産業国は、通信技術情報や説明書、その他の海洋科学技術に関する資料を、代表団の皆に伝達する任務をしばしば引き受けた。代表団はそこから消息筋の意見を得ようとしていたのである。

 

再び条約のことに戻るが、国連海洋法条約は、その多くの条項において、科学知識の普及や海洋技術移転の分野において開発途上国を優遇する義務を考え出しているのである。そのような条項のほか、海洋環境の保存と保護の関連事項も含め、協力的な計画へと収斂させることは、国と国際機関の明白な義務である。絶対必要な義務は、依然として、実際に明白なままであるが、全ての国、特に開発途上国において探査の為の協力義務は、十分にその脈があると思われる。国連海洋法条約の下で考察してみると、全国規模のネットワークを活用しながら、地域的及び準地域的な観点で、海事に関する協力的な調整がすでに様々に率先して実施されてきた。

 

第3回国連海洋法条約会議の審議が、<理想>に向かってイデオロギーとの調整を成し遂げ、そして最善が美徳の敵になるような状態を避ける努力に、その特徴があったと、我々は恐らく気付くことであろう。この努力は、次会の準備委員会(訳注:第4回国連海洋法会議は2004年の予定)においても今日続いており、いかに努力していたかは、其の実績を見れば判るのである。登録された投資家の義務の遂行に関する範囲及び予定を明確にし、また行政的・財務的な法規と同様に鉱業規則の立案を通じて、投資家の登録に関する決議IIの実行に見られる展開がその証である。

 

 

 

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