民間企業を中心に、一つのイデオロギーに力点をおく反対提案が、先進産業国からのパートナーを説得することによって精力的に審議された。最後に具体化されたものは何であろうと、ともかくその提案だけが'共同の財産'との<理想>を実現化できる技術的な説得力をもっていた。また、その主張は、決定的ではないかもしれないが、重要な意味をもつものであった。その結果はいわゆる'パラレル方式'の<現実>であった。その方式は、開発途上国によって提案された法制上の構成を大体の輪郭で示し、実現に向けて努力しようとしたが、導入された根本的なことは、全ての国が参加し賛同を得るために、法制上の構成を二つのイデオロギーによって両立させると同時に、その仕事の領域を制限的に規定しようとしたのであった。
従って、国連海洋法条約の第11部に含まれている活動は、それがその海域で実際行われている唯一、新制度に基づく活動であるから、本質的に重金属(polymetallic)の団塊の採鉱(再生)を包括するために境界が定められた。差し当たり、どこか他でも行われている加工とマーケテイングのような事業活動は、海洋法の範囲を越えていると見なされた。国際海底機構が設立されるなら、その役割は事業ではなく、管理上のものでなければならない。海底採鉱は、先着順を基本として、資格のある民間及び政府機構からなる官民共同事業によって実行されるべきである。公的機関等当局自らが海底鉱物資源の採掘に従事することを望むならば可能ならそうして、最初は、助成金及び技術的優遇支援の特別待遇が目的だとしても、国際海底機構から常に安全距離を保った事業経営でさえあれば、10年後に官民共同事業は自律した競争力をつけるだろう。
陸上鉱物生産者の輸出利益に対して全く不利な影響をもたらさないために、――国連海洋法条約による管理メカニズムやその後に続けて成立された生産契約(Commodity Agreements)を通してでなく――現実の海洋鉱物生産は調整されるであろう。厳しい条件の技術移転に関する条項は、開発途上国に喜ばれるが、財産としての技術を認められおり、形式上では強制されるように修正されており、一般的に民間による技術移転であった。従って、その条項は所有者の任意によって、公平で合理的な商業的条件と必須条件で移転できたのである。おおざっぱな政策決定に関して、全てのメンバーからなる総会(Assembly)を制約するように、当局の権限及び機能は分離されたが、一方、理事会(Council)には特定の参加者からなる執行部を授けているが、そこでは、先進産業国はもっと大きな影響力及び、実際の海底掘削に関する統制力を利かすであろう。