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イデオロギー的なやり方は、海洋法会議の大半を占める開発途上国が好んで選択する方法であった。新国際経済秩序の構築に関する宣言(Declaration on the Establishment of the New International Economic Order)はその縮図であり、その<理想>が開発途上国に刺激を与えたのである。国の経済的な権利と義務に関する宣言書は国連海洋法会議の第1回目であった1974年に採択された。開発途上国は、国の管轄権が及ばない海底に関する制度を提案した。世界が既に相互依存する共同社会へ発展しており、その共同社会は経済的発展のために、国の管轄権は、国際協力の義務によって拘束されている、と当然視されるのである。従って、開発途上国は、海域と資源の共同所有権に間に合わせて次のようなことを備えて来るべきであった。すなわち、多数決による世界的な関与を受けながら一つの政府によって資源を開発すること、それは、そういう関係に基づいた特殊な目的を遂行するために政治的な、民間レベルのパートナーを選択する自由を有するものである。また、その目的は、すべての国々と必要に応じて出来るある種の国家的な組織体との間で分配される利益(財政的、技術的な利益)を得るために、上記のような関係が醸し出すものに基づくのである。

開発途上国は関係国と共に必要な条項を補うべきであって、例えば、第1に、進歩した海底採鉱技術が発達している国が、採鉱権を認められる条件で、海底採鉱作業に参加しようとする、低開発国に技術移転を準備するように義務づける条項である。そして第2に、鉱物市場での過剰供給を避けて、陸上産業をベースとした鉱物資源輸入国の保護策として、海底鉱物生産を制限する義務に関する条項、である。その制限は、関連金属の生産を統制する生産契約の成立によって、やがて、第2項の成果が出るのである。海底採鉱権を与え、複雑な技術的、経済的、法律上及び行政上の規則と手続きを守っているか否かを監視する公共機関が必要である。そこには全ての国が参加し易く、また、調整された投票によって、主要な貢献者から大きく影響を受けない状況で、一国一票を基本として全ての問題に決定を下さなければならない。

 

 

 

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