(4) 国際タウンミーティングから学んだこと
1]まちづくり
まちづくりは市民にとってのよいまちを市民合意でつくること。まちづくりは半分は市民のために、半分は観光客のために行うもの。
2]観光
観光客の多く来るまちがよいまちであるという単純明快なコンセプトをもって海外の4都市とも強い意志で観光政策に力をいれている。観光は地域経済活性化に有効であるとの考えに基いている。また観光はまちづくりの中核になり得る産業である。観光客の増加が地域の産業に良い影響を与える仕組みをつくらなければならない。
3]市民一人ひとりがガイド役と心得る。それはホスピタリティの重要さということ。
4]景観
美しい景観は人の心を育てるものである。景観への市民意識を育てることが大切である。そのための意図的積極的な活動が必要である。
5]都市計画
都市計画とまちなか整備……中心市街地づくり・街並み保全・道路計画・交通計画・景観計画など諸計画は個々の専門家任せではいけない。総合計画たることが大切である。
6]行政の役割
まちづくりには行政の果たす役割は重要である。総合マスタープラン作成と市民コンセンサス(合意形成)へのリーダーシップが求められる。
7]市民の意識改革とコンセンサスづくり
住民市民が自らの住むまちを知ること、その可能性に理解を持つことがスタートである。市民にわがまちを知ってもらう広報活動を積極的に行う。同時に、市民がみんなで決めたコンセプトに誇りをもつことが成功のキーである。まちづくりに必要な市民合意、すなわち公共の利益と個人の利害の相反関係の調整について4招請者はともに忍耐強い話し合いこそ重要と指摘していた。公共の利益という観点について欧州と日本の歴史的な価値観の違いはあっても、市民合意を形成するための強い意思は必要である。
8]保存と創造(古きものと新しきもの)
保存するものと変えるもの、捨てるものを認識し、新しいものを付加していく。
9]たゆまざる努力
継続が力になり実績になり歴史の構築につながる。「こだわり」が必要である。
10]黒部の持つ魅力
黒部は既に美しい自然(海山川水)と、豊かな暮らし(フレンドリーな市民)、立派な施設(コラーレなど公共施設)を持っている。これらは立派な観光資源たりうる。これらを守り、更に美しいものに磨き上げることによってもっと魅力のあるまちになるであろう。
11]水と花
今次の招請者の都市はそれぞれ「水と花」のまちづくりに成功したケースとおもわれる。水については各都市とも湖(スネーク・南湖水地方)港(ビゴ)・川(ウルム)の違いはあっても水を住民が楽しみ、それを観光客にも提供し、ともにエンジョイしている様が浮き彫りになった。ウォータースポーツ、アウトドアスポーツが黒部には不足でないかという指摘あり、今後の課題である。また、花であるが、欧州諸都市は公園を中心に都市が発展しており、都市計画ではごく自然に都市景観とともに自然景観を生かすまちづくりが行われていることは学ぶべきところである。家々が競い合って住宅の窓際を花で飾り、敷地境界を緑で飾る姿がすばらしい。