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B 第1分科会

 

市民:

先程、人口の推移がグラフに出ていたがその背景には産業の問題、観光の問題等いろいろあると思う。その点について具体的に聞きたい。

ドミンゲス氏(スペイン):

1960年に約14万5000人だった人口が昨年には約30万人近くに膨れ上がっているのは、ビゴ港が観光だけではなくて、産業全体に対して非常に大きな役割を果たしているからだ。ビゴ港はヨーロッパでも一番の冷凍漁業の基地であり、1970年代を中心に、漁業から発生する缶詰製品の工場、冷凍食品の工場などの関連工場が周囲に広がってきた。その結果、約8000人の雇用が増えたのではないかといわれている。この関連産業の広がりが人口増加の原因ではないかと思う。

ビゴ市には、109平方キロメートルにわたる広大な土地があるので、今は約30万人の人口だが、住宅問題に関しては心配していない。また町村合併などによってビゴが拡大したわけではない。ビゴ市中心部は小さいが、周辺部は非常に長く、リアス式海岸をずっとかたどっている市なので、その一帯に人口が広がっている。その点では、人口急増における悪影響は見られなかった。

 

市民:

オランダは地域によって独自の特性を大事にしていて、市民の考えによってスタイルが決まってきているという話があった。その辺りをもう少し詳しく話していただきたい。

ミッデルホフ氏(オランダ):

スネークも黒部と同じように水には悩まされてきた歴史を持っている。したがって水とのコミュニケーションやバランスをとりながら開発を進めていかなくてはならないというのが、私たちに課せられた絶対的な課題である。

スネーク市とスネーク湖は、観光面において切っても切り離せない。両者のコンビネーションが実り豊かな結果を生み、スネークの町のイメージを作り上げていく。“スネークウィーク”の開かれる8月の第1週だけでも、5000人の旅行者がスネーク湖を訪れる。今年は第65回のスネークウィークが開催される予定になっている。町と湖は、私たちにとって勝利の方程式であり、お互いがお互いを相強めあって、効果を増している。

またボランティアの存在が大切だ。王立水上スポーツ協会が何百人ものプロフェッショナルなボランティアを提供している。また“スティチューン・スネーク・プロモーション”という、企業家、地元の自治体や音楽家のグループなどが参加するボランティアの集まりは、イベントのサポートをしてくれている。

3月の半ばから11月の半ばにかけてスネーク市を訪れる旅行者は10万人以上。そのうち町の運河に停泊しながら滞在を楽しむ方たちが、船の数でいうと500以上ある。その船には、皆さんが心地よくスネークに滞在できるようにという配慮から、トイレやシャワーが付いており、いろいろなサービスを完備している。

また旅行会社を通じて、お祭りの情報等のパンフレットを配布している。自治体を含めた他の団体ともネットワークをつくり、協力関係をつくろうとしている。

 

 

 

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