・近年は、水に親しみ楽しむ住民と旅行者が増加している。スネークのルーツは水であるが、ルーツを維持しながら、新しいニーズに対応して変化していくことが大切である。スネークでは貿易と観光がともに水と切り離しては考えられない。現在も、新しい水路を造ったり住宅地を開発する事業構想を進めている。我々に課されている課題は歴史的な建造物などへの水路を造り、変化に富んだ美しい景観を作り上げること、水路に沿ってある家々を美しいものにすることである。この新プランは「ポークポート」と呼ばれている。
・中心市街地の保存と活性化について……1945年に条例が出来て歴史的な建造物や地域特性は変えてはいけないことになっている。その上に、都市計画で中心街を区割りしてそこに中小商店が入居するようにして、大規模店は中心街に入らないようにした。
・オランダでは各地域の都市計画が法律で決められており、地域特性を変えないようにされている。それにはそこに住む市民の考えがよく反映されるようになっている。また、郊外のどこにでも家を建てたりしない。中心市街を守り、不要な分散はしない。
・市民が住み良いと感じることがまちづくりのねらいである。観光客が多く訪れるようになるとそこに住む住民に自分の住む地域に対する誇りが生まれ、そういう市民意識が地域の活性化に結びつく。
・市民にとって魅力のある町は旅行者にとっても魅力があり、市民が住み良いまちは観光客にとっても快いまちである。
・地域の産業、基盤がしっかりした上に観光がなりたっている。キーワードは個性化、差別化である。
・まちづくり・都市計画の半分は市民のために、半分は観光客のために行われるものである。
・市は町のPRを積極的に行なっている。
・大型ショッピングセンターを作ってよい地域は地方法で決まっている。中心市街地には小さい家族経営で昔からの質を守って魅力を売り物にする店が立地している。黒部でも中心地にコンパクトなショッピングエリアを作り育てるのもよいのでないか。
(C) ルス・マリア・ドミンゲス・ゴンザレス氏(スペイン・ビゴ市)
ビゴ市:
風光明媚なスペイン・ガルシア地方のリアス式海岸に位置する。人口30万人面積110平方キロ。ガルシア地方では最も近代化の進んだ都市。この100年に人口が2万2千人から29万人になった。ビゴ港は天然の良港で、伝統漁業の基地。工業都市から観光都市へと変貌。'99年観光客数104万人(市内ホテルベッド数4400)
・ビゴはメキシコ湾流の影響で夏冬とも過ごしやすい温和な気候である。この立地条件を生かし、自然と伝統・食文化をマッチさせて観光開発をしている。ビゴでは自然と市街地が一体となっている。海岸線に22のビーチがあって、レクリエーション施設・スポーツ施設・慰労サービス・レストランなどが完備している。ビゴから海上14kmのシェス諸島は自然公園の指定を受けている風光明媚で、ウミドリ生息地でもあり、1日2200人に限って観光客を入れている。ビゴ市内には四つの公園があり、また周囲に11の森林公園があり、乗馬やバーベキューなどやウォータースポーツも楽しめる。これらの観光施設やイベントは周囲の環境を破壊することなく調和させて進めるのが基本方針である。もう一つの観光資源は食文化である。市内に620ものシーフードレストランが地元で獲れた新鮮な魚介類で客をもてなしている。
・ビゴのまちの起源はBC300〜AD100とされ、当時の遺跡もある。
・ビゴは工業のまちから観光のまちへ脱皮したが、ビゴが産業都市であるというイメージを変えるためにビゴの市民の考えを先ず変えることから始めた。その第一歩はビゴの良さを市民自身に知ってもらうことであった。その上で、美しい風景だとか、歴史とか、食文化などそういうものを通じての新しいビゴのイメージを外部に伝えることにした。