(2) 海外招請者発言内容(要旨)
イ. 欧州小都市のまちづくり事例
(A) マックス・シュテムスホーン氏(ドイツ・ウルム市)
ウルム市:
南ドイツの人口11万5千人の都市でミュンヘンとシュツットガルトの中間に位置する。15〜16世紀から都市として発展して来た。世界で最も高い尖塔の教会で有名。第二次世界大戦で街が破壊され瓦礫の中から戦後再建された町。科学都市でもある。地域直径100kmの中心地。
・まちづくりや都市計画はそれぞれのまちの人、歴史、政治・法律・社会構造の違いで一様でない、一つのまちでの成功事例を他のまちでそのまま実施すればよいものではない。アイデンティティが求められる所以である。故に、このようなテーマでの国際交流は大変有意義である。
・まちづくりは市民合意を形成することがスタートだが、まちの個性化を意識しながら行政が強い意志で実行するものであると認識している。
・中心市街地の活性化対策について……ウルムでの中心市街地活性化への取り組みは先ず市の中心にあるショッピング街に、集まる人がみんなでくつろげるスペースを設けることであった。2番目にはお客、企業、お店を町の中心に呼び戻すために地域の改修・改装に予算を投入し整備した。これら二つの仕事はまちづくりプラン・都市計画から始まるもので相当な苦労であった。市の主導と地域の市民住民関係者の協力が必要である。また、市の中心の交通量を減らす取り組みも実施している。それらの施策によって、町の中心にある教会前の広場で市(いち)ができ、地元の産品を売っている。また観光客が市民と交流できる場にもなっている。
・観光客にまちを見られることにより、まちは自らをドレスアップしてくる。(水辺空問、ガーデニング等において)
・ウルムのガーデニングの伝統は古いが、近年中心部に公園と緑地を作る必要が強く認識されてきた。建築計画・道路計画などこれまではバラバラに進んできたきらいがある。総合都市デザインとして進める必要がある。
都市はこれからも留まることなくまちづくり事業が進められ、変貌を遂げていく。
(B) フランス・ミッデルホフ氏(オランダ・スネーク市)
スネーク市:
オランダ北部の人口3万人の都市で周辺約10万人の中心。水門など歴史的建造物を持ちながら現代都市でもある。水路発達の歴史とともに発達してきたまち。13万人の労働者が周辺地域からスネーク市に働きに集まる。町中に水路(運河)が張り巡らされている。スネーク湖で開催されるヨーロッパ最大の帆船イベントが有名。
・スネークは黒部から大変遠い都市だが、締結30年になる両市の姉妹都市交流のおかげで黒部へ来て非常に温かな、くつろいだ気持ちになる。嬉しいことである。オランダではあと数日でフリースランドのジャパンデーが始まる。日蘭交流400周年記念イベントである。
・スネーク市はオランダ人が始めて日本に来た1600年頃には既に(図の示すように)市街地が形成されていた。発祥の歴史はもっと古い。川沿いに古い街並みが現在している。蜘蛛の巣のように張り巡らされた運河が運輸・商業のための交通路であった。町の中心に商業地域を置いている。大型スーパーマーケットに負けないように活動している。ぐるぐる回る道路町「サークルロード」をつくり、中心街には不必要な車を入れないようにしている。このような計画された街づくりは近隣の町から羨ましがられている。さらに町の東方に新しいサークルロードを作り新ショッピング街を作っている。このような町の構造を変える仕事の効果はきわめて顕著である。