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<保険制度について>

1999年11月より、ハンガリー国民は、それまで1年に1回受けることができた無料の温泉治療を、1年に2回受けることができるようになった。この治療は、専門家の処方箋に基づいて行われものであり、一次予防の段階では保険は適用されない。なお、18歳以下の青少年には、軽度の障害であっても保険が適用される場合がある。

<温泉療法に関する教育制度について>

ハンガリーにおいては、大学で基礎医学を学んだ後に、大学院において3年間理学療法を学び、温泉療法修士号を取得することができる。理学療法士はさらに4年間の教育が必要となる。

<日本に対する提言>

行政の意識を変えることは、時間はかかるかもしれないが可能である。現に、温泉療法に対して懐疑的であったオランダや北欧諸国でも、温泉療法施設が増加している。

 

2]ブルーノ・ファブリ博士 (イタリア)

<アバノの温泉水について>

塩素、臭素、ヨウ素、ラドンが含まれる。87℃と非常に高温なため飲料用としては適さない。

<泥療法について>

アバノの泥療法には、関節炎等の治療に用いられる暖かい泥と、主に美容に用いられる冷たい泥によるものがある。これらは6ヶ月間55℃の温泉水に混ぜて放置することによりバクテリアなどが発生した粘土質であり、治療では47℃の泥を15分程度患部に塗布する。特に変形性関節炎の治療に用いられるが、炎症性の関節炎の場合は、泥の熱がかえって症状を悪化させる恐れがあるため、マッサージや運動療法の方が適していると考える。

泥療法の効果については様々な議論があり、その調査研究が非常に重要となっている。泥の研究の場合は、二重盲検を実施することが難しいなどの制約があるものの、泥を用いた治療が持つ様々な効果は徐々に明らかになりつつあり、泥に含まれている化学成分の働きなどに関心が集まっている。温泉療法全般に関しても、科学的なアプローチによってその効果をより明確化し、その活用を医学や美容などの分野に広げていくことが大事である。

<保険制度について>

国民ひとり当たり1年に1回無料で2週間の温泉療法を受けることができる。ただし、リウマチ、肺炎、胃腸病など、認定された疾患のみに適用される。

<温泉療法に関する教育制度について>

水浴療法の医師は、医学を6年間学んだ後、4年間の専門コースを受けることが義務付けられている。

 

 

 

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