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(3) ヴェネチア (イタリア)

1]ヴェネチア生活事情について

・生活費:

ヴェネチア市はイタリア全土で最も生活費が高い。島への運搬代の為、特に物価が高く、他都市で2,200リラの牛乳が、ヴェネチアでは2,250リラで売られている。1ヶ月にかかる最低生活費は10万円で、就労形態に応じて税金の払い方が違う。伝統ある家の改修工事も費用がかさむ。老朽建築材などの運搬だけでも大変で、ボート1杯分の廃材を1回処理するのに約6千円かかる。

・ゴミ問題:

ゴミは市が処理するが、ゴミは埋め立て、焼却処分される。ゴミ処理の為の税額は、それぞれの家の間口、地区により異なっており、例えば、サン・マルコ広場周辺の住民はゴミ処理代として1年間に4万円の税金を市に支払っている。

・水:

水の都ヴェネチアで使用される水は、近隣の山岳から海底パイプを通って供給され、1年を通じて豊富にある為、水不足で困ることはまず無いという。

・ボート:

島への車の乗り入れは禁止されている為、主要交通機関はボートである。中には免許をとって自家用ボートを所有する市民もいるが、維持費がかかる為、豊かな市民に限定される。又、停留所は指定されており、どこにでも停泊できるわけではない。海軍省により1年に1度、車検ならぬ船検がある。陸での移動の為、車を所有する市民もいるが、ガレージ代だけでひと月38万リラ(約2万5千円)かかる。救急車や消防車に匹敵する救急ボート、消防ボートがある。火事の場合は、消火の為の水は富にあるが、建物の梁が木製なので、火の周りが早く、又、建物と建物がつながって建てられている為、一度火が付くと、大火災となる場合が多い。

 

2]ヴェネチア・グラス工房(A.R.S工房)

・マエストロ:

3人

・職人:

10人

・特色:

一般にヴェネチア・グラスと呼ばれるが、実際はヴェネチアの一つの島で全て製造される。この工房では小物から大作まで全て手掛け、自分でデザインしたオリジナル商品も50個以上注文すれば発注できる。3人のマエストロはヴェネチアで最も優れた職人達。特に、真っ直ぐな製品を作るのは優れた技術をもたなければ難しい。

ヴェネチア・グラスの特徴は、その色彩の豊かさ。基本的に、色の種類が多いほど、値段は高くなる。又、クリスタル・グラスの場合混ぜ物が入ると黄色く見える特徴があり、より透明度の高いものが価値が高い。

 

3]その他

ガラス工房での仕事は重労働の為、後継者が育ちにくい。職人間での競争心が激しく、特に技術の伝統を守る為、外国人は基本的に弟子入りさせない。日本人で特にムラトに受け入れられたのは現在、千葉県在住のフジタ氏であるが、フジタ氏は天皇家の婚礼の記念品を作るなど日本では一、二を争うガラス職人で、ヴェネチアでもその技術の高さと独自性を高く評価された特例と思われる。

 

 

 

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