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(2) アバノ(イタリア)

1]人口・行政・経済

・人口:

1万8千人

・市長:

任期5年。連続2期、最高10年間の任期。

議員:

20名(市議会:コンシーリオ・コムナーレ)

直接選挙で選ばれた市長の支持政党から過半数の議員を選出する。

・行政区域:

アバノ市 21.5km2

・経済基盤:

1)保養産業・ホテル業

2)手工業

3)農業

 

2]施設関連

・保養産業

ホテルの役割:

市内に100あるホテルが保養産業の中心。各ホテルに専属医師がおり、ホテル内にメディカル・センターがある。保養客の大部分はファンゴを使っての治療を目当てに滞在している。

ホテル内施設:

メディカル・センター、屋内、屋外プール、温泉プール、ジム、エステ

・サロン、ファンゴ製造施設

・温泉について:

温泉水は約25年間をかけて作られる。ドロミテ山脈に降った雨水が地下のマグマに浸透し、25年もの期間をかけて山麓のアバノ・モンテグロットヘ移動する。その移動期間にミネラルを吸収し、温泉となる。ちなみに別府市の場合は温泉となるまで約50年かかる。温泉の泉源はそれぞれのホテルが保有しており、過去に比べると若干湧出量が減少した為、行政としては、資源保護の為、現在100あるホテル以外にホテル建設許可は出さない方針。

・ファンゴについて:

アバノは市内いたるところから87℃前後の温泉水が沸き出している。ファンゴは泥に温泉成分を吸収させたもので、保養客の美容や、理学療法に使用されるアバノ特産品。作り方は、シンプルで、近郊の湖から採取した泥をファンゴ専用温泉プールに入れ (温度45℃)、期間に応じて専属スタッフがプールを順々に移動させ、4ケ月間をかけて温泉成分をドロに吸収させる。治療に使用する際にはファンゴの温度を40℃に下げる。使用後、泥はリサイクルされ、4ヶ月をかけて新たなファンゴとして生まれかわる。ファンゴ使用に際しては、一般的美容目的のマッサージには医者の許可は必要無いが、医学目的での特別マッサージには使用許可及び事前予約が必要。長期滞在者の場合は、医者の診断書に基づき(使用箇所、使用温度、使用回数・頻度)、ファンゴを治療に取り入れている。実際の治療はアシスタントの手により行われる。

・治療の流れ:

ファンゴ→シャワー→温泉入浴(35℃)→マッサージ

ホテルの部屋の中には、治療施設を併設した部屋があり、希望者には個人の部屋にも出張サービスを行っている。ファンゴによる副作用は無いが、心臓の弱い人は使用を禁止されている。

・医者の専門性:

イタリアでは6年間の医学コースを終了後、4年間のホテル内インターンシップを受け、温泉専門医としての国家資格が与えられる。パドアには800年前に設立された温泉専門大学があり、温泉専門医を希望する学生を受け入れている。法律上の規定として、温泉ホテルには最低1人以上の専門医師を雇用するように規定されている。エステ・サロンに関しては、人数的な規定はない。

 

 

 

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