市主導型のものは、学校運営や文化活動を担当している市役所の文化局に約20名のスタッフがおり、そのうち2名がイベント開催を主に担当し、専門的な運営ノウハウを有している。人手が特に必要な場合は、民間からアルバイトやボランティアを雇ったり、文化局のその他の職員の協力を得て仕事をこなしている。行政主導のイベントは、小さなクラブができないような資金的リスクを負うものや、専門的運営テクニックが要求されるようなイベントを中心に開催されている。シュピルハウスという民間委託会社を市の一部出資により設立し、大きなイベントの開催や、市のマーケティング活動を実施している。
5] 将来の展望と課題
現代人の生活転換スピードの加速化により、人々は短期間にさまざまなことを経験したいと思うようになった。又、ドイツ政府の保険により保障される温泉保養期間が3週間に短縮されてしまい、結果としてバーデン・バーデン市を含め、多くの観光都市での滞在日数の短縮傾向が伺える。バーデン・バーデンの場合、現在の平均宿泊数は3日間である。ホテルにとっては、長期滞在客の方が顧客サービスは効率的だが、将来的には更に短くなると市当局では予想している。ただし、10年、20年前に比べれば旅行の回数自体は増加しており、全体としての観光客数には今のところ影響は出ていない。行政としては、ホテルや観光業者と提携してのパッケージ・ツアーの売り込みにより団体客をより多くバーデン・バーデン市に迎え入れたいと希望している。ただし、パッケージ・ツアーの先進地である日本では、それが個人の消費単価の低迷につながるという問題が既に発生しており、どのようにバランスをとっていくかが今後の鍵になってくると思われる。