・入院患者や、付添人が退屈しないように、カフェテリアではハウスコンサートや手品師を招いてのアトラクションなどを定期的に実施している。そのプログラムを作る専門スタッフが1名おり、患者の希望を聞きながらプログラムを決定している。
・レストランでの食事は3種類のコース・メニューから選択できるようになっており、6週間滞在しても毎日違った食事をとることができ、質は一流レストラン並み。コンピューターで好きなメニューを事前に患者自身が選択するようになっている。また、座席も患者それぞれの個性をみながら決め、患者同志のマッチングを行い、人間関係の円滑化を心掛けている。
・患者の平均年齢は60歳以上で、リピーターもかなり多い。マーケティング・メイリング・リストをコンピューターに入力しており、顧客管理を行っている。
3]保養都市としての発展の歴史
2千年前: ローマ人の手により建設
中世: 温泉客数の増加
19世紀: 王公貴族の保養地として発展。夏の首都として冬の首都パリと並び ヨーロッパ有数の保養都市として開花し、現在に至る
4]町づくりの基本方針・主要計画
保養都市として
・建築物規制と自然保全
丘陵地帯には建物を建設しないという市の方針のもと、自然に囲まれた町というイメージが保たれている。又、それぞれの建築物の高さ、デザイン、色彩に規制があり、町全体が上手く調和を保っている。市内の建物だけではなく、公園の木の1本1本にいたるまで、規制の対象となっており、伐採が禁止され、自然の景観が美しく保たれている。クア・パークの手入れをするだけで年間240万マルクの経費がかかる。
・ミヒャル・トンネルの建設
60年代から70年代にかけて車の数の増加に伴い、排気ガスによる公害問題が深刻となった。市内の排気ガスを減少させる為、2.5キロにわたるトンネルを建設し、訪問客はすべてこのトンネルを通ってくることとなった。
・市中心部への車の通行規制
ホテルへの荷物運搬目的以外の一般車両の町のメイン・ストリートへの通行は、10年前から市の条例により規制されている。業務用車両は午前10時までにその作業を終了するように指導を受けており、違反車には罰金も課せられる。時には市外のドライバーが誤って紛れ込むこともあり、中には違反車両も若干見受けられる。取り締まりは緩やかで、概ねドライバー個々のモラルにゆだねられている。車両通行規制が発令された際、市内の空気汚染が問題となっていたため、住民からの反対はほとんど出なかった。又、これは空気浄化のみならず、騒音対策としても有効で、静かな落ち着いた雰囲気を観光客に提供している。
現在では、クア・ハウスを中心とする町の中心部全体がひとつの公園のように平和で美しい環境を保ち、遊歩道に面したレストランでは野外テーブルを囲んでくつろぐ観光客の姿を目にすることができる。
・市外駐車場の整備
市中心部への車の通行規制の施行と併せて、訪問客の為の市外駐車場の整備が進められ、訪問者は市外に車を駐車し、シャトル・バスにのって市内に入ってくるようになった。