世界銀行の推定によると、ウクライナの96年の国民総生産(GNP)は、94〜96年の平均価格で算定すると、609億400万ドルであり、これは国民1人当りでは1,200ドルに相当する。
1990〜96年の期間に、1人当りの実質GNPは、年平均13.5%の割合で減少しており、同期間における人口も0.4%の割合で減少している。
また、ウクライナの国内総生産(GDP)は、1985〜95年の期間に、実質で年平均6.6%の割合で減少しており、90〜96年の期間では13.6%の割合で減少している。
なお、96年のGDPは10.0%、97年は3.2%の減少を記録している。
農業部門(林業、漁業を含む)は、96年GDPの11.7%を寄与し、全労働人口の24.0%がこの部門に従事している。
ウクライナは、広大で極めて肥沃な黒土地帯を有し、殆ど全ての農産物の自給自足が可能である。
主な作物は、穀物、甜菜、ポテト、その他野菜類である。
国営集団農場から自作農への転換政策は、1991年に始まったが、97年1月までに自作農の農地への転換は14%に過ぎない。
それにも係らず、97年の自作農による生産高は全農業生産高の約46%にも達している。
世界銀行の推定によると、農業部門の実質GDPは1985〜95年の期間に、年平均3.6%の割合で減少している。
96年の農業生産高は10.0%減少しているが、97年は1.9%の減少に止まっている。
工業部門(鉱業、製造業、建設業、電力業を含む)は、96年GDPの34.9%を寄与しており、全労働人口の32.0%がこの部門に従事している。
重工業がこの部門を支配しており、特に金属工業、機械工学、化学、機械製造が盛んである。
伝統的に重要であった軍需関係産業は、非軍需産業への転換が図られており、1997年には80%の転換が終了している。
世界銀行の推定によると、工業部門の実質GDPは、1985〜95年の期間に、年平均5.1%の割合で減少しており、生産高は96年には5.1%、97年には1.8%の減少となっている。
ウクライナは、巨大な石炭の埋蔵(主としてドンバス炭田)のほか、高品質の鉄鉱石、マンガン、チタニウム、黒鉛などの天然資源にも恵まれている。
石炭の産出は、90年代初頭に減少し(1989〜95年の期間に約53%減少)、96年に数カ所の非採算鉱山の閉鎖など炭鉱業の大きな組織再編を実行した。
世界銀行の推定によると、製造業部門は95年GDPの38.7%を寄与している。
1990〜95年の期間に、鉄鋼の生産高は約60%の減少をしている。
1985〜95年の製造業の実質GDPは、年平均2.2%の増加を記録しているが、95年は実に15%の減少となっている。