ウクライナ
(1) 一般事情
ウクライナは、旧ソ連のヨーロッパ部分の南西部に位置し、北東はロシア、北はベラルーシ、西はポーランド、スロバキヤ、南西はハンガリー、ルーマニア、モルドバの諸国とそれぞれ国境を接し、南は黒海、アゾフ海に面している。
同国は、ソ連邦を構成した共和国の一つで、人口や経済的重要度において、連邦中ロシアに次ぐ第2位を占め、文化的にも永い伝統を保持してきたが、1991年にウクライナとして独立している。
国土面積は、603,700km2(日本の1.6倍)で欧州ではロシアに次ぐ大きさである。
人口は、5,050万人(97年)で、首都をキエフ(人口263.5万人)におく。
人種は、ウクライナ人(72.7%)、ロシア人(22.0%)、ユダヤ人(0.9%)、ベラルーシ人(0.9%)などから成る。
言語は、公用語のウクライナ語のほかロシア語が用いられ、宗教はウクライナ正教およびウクライナ・カトリック教、ロシア正教などである。
内政では、ロシア人(60%)とウクライナ人(25%)のクリミア半島における住民間の離反問題があるが、現在のところクリミアの政情も一応安定している。
外交は、西側との路線を基本方針としている。
また、ロシアとの間ではエネルギー債務問題(石油・ガスのエネルギーの大半をロシアに依存)等の困難な問題を抱えている。
ウクライナの経済は、深刻な不振に見舞われており、国内総生産(GDP)は1991年水準の50%以下を記録している。
独立直後からのインフレの高進や生産の低下に対処するため、政府は国際通貨基金(IMF)等国際金融機関との協調路線をとって経済改革に着手してきた。
マクロ面では一定の改善がみられ、安定化を背景に、96年には新通貨「グリブナ」を導入した。
しかし、その後の民営化・産業リストラ等のミクロ面での改革の遅れや賃金・年金の未払いなど改革に伴う新しい問題が発生し、経済改革は大幅に遅れている。
98年に入り、国際金融市場低迷の影響を大きく受けて、膨大な対外債務の償還に外貨準備高減少の問題も深刻化している。
さらに、エネルギー債務を中心とする国際収支の悪化問題も発生している。
このような状況下、西側諸国は協調してウクライナの財政・経済改革を支援する姿勢を示している。
なお、ウクライナの通貨は、グリブナ(99年4月30日現在1ドル=3.924グリブナ)を使用している。