民衆党政権のもと政局も安定し、97年経済は3.5%の成長率を記録するなど、順調に成長している。
インフレも97年は史上最低の前年比2.0%、雇用も2.6%(約34万人)増、観光収入大幅増による経常収支黒字の大幅拡大、財政赤字対国内総生産(GDP)比も2.6%を記録している。
また、99年1月にはEU通貨統合に第一陣参加している。
世界銀行の推定によれば、スペインの国民総生産(GNP)は1994〜96年の平均価格での算定では、5,632億4,900万ドルであり、これは1人当りでは14,350ドルに相当する。
1990〜96年の期間における、1人当りの実質GNPは、年率1.0%の割合で増加しており、同期間における人口は0.2%の割合で増加している。
スペインの実質GDPは、1990〜96年の期間に、年率1.3%の割合で増加している。
実質GDPの成長率は、96年は2.4%、97年は3.5%、98年は3.9%(推定)と順調に伸びている。
農業部門(林業・漁業を含む)は、96年GDPの3.7%を寄与し、労働人口の9.2%がこの部門に従事している。
主要農産物は、大麦、小麦、砂糖大根、野菜、柑橘類、ぶとう、オリーブ、ワイン、オリーブ油などである。
国連食糧・農業機関(FAO)によれば、1985〜96年における農産物生産高は、年率0.7%の割合で増加している。
95年の生産高は、干ばつの影響を受け、特に穀物の収穫は25年ぶりの低収穫であった。
また、漁業もスペインにとって重要な産業の一つである。
林業は、森林の殆どが国有もしくは地方自治体の所有となっている。
森林面積は約1,600万ヘクタールで、主要林産物は木材、樹脂、コルクなどであり、主として輸出に向けられている。
工業部門(鉱業、製造業、建設業を含む)は、96年GDPの33.2%を寄与し、労働人口の30.1%がこの部門に従事している。
1989〜94年の期間における工業部門の生産高は、年率0.4%の割合で減少しているが、95年、96年、97年の工業部門のGDPはそれぞれ4.4%、0.1%、4.3%の成長率を記録している。
鉱業は、GDPの0.6%(90年)を寄与し、労働人口の0.5%がこの部門に従事している。
主要鉱産物は無煙炭および褐炭であるが、その他に石油も産出している。
天然ガス需要の一部はビスケー湾産出のものが供給されているが、残部はパイプラインに依りアルジェリアから輸入されている。
製造業は、GDPの17.4%(92年)を寄与しており、労働人口の19.3%がこの部門に従事している。