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スペイン

 

(1) 一般事情

 

スペインは、欧州南西部のイベリア半島の5分の4を占め、北東はピレネー山脈がフランスとの自然国境をなし、南西はポルトガルと国境を接し、北はビスケー湾、北西と南西は大西洋、南と東とは地中海にのぞんでいる。

スペインは、欧州と北アフリカの接合部にあたるため、古くからさまざまな民族の移動の陸橋となってきた。このため各種の文化の洗礼を受け、ラテン文化を中心とする地中海文化に加えて、南部にイスラム的要素、北部にゲルマン的要素が残っている。

国土面積は504,782km2(日本の1.34倍)である。

人口は、3,932万人(97年)で、うち首都マドリッドの人口は約287万人である。

人種は、地中海人種で、西部にアルプス人種、南部にオリエント人種(アラブ人)が混ざり東海岸に北方人種の特徴もみられる。

言語は、公用語はスペイン語(カスティージャ語)であるが、バスク語、カタルニア語、ガリシア語なども地方によって使用されている。

宗教は、住民の99%がローマ・カトリック教徒である。

スペインは、近世初頭は世界最強の海上帝国として「スペイン人の領土に太陽の没するところはない」といわれたが、17世紀以降のイギリス・オランダとの戦に破れて国運は傾き、現在は前近代的な社会構成を残した後進国にとどまっている。

1939年の内線終了後、独裁政治体制を敷いていたフランコが75年に死去したのを契機に民主化が始まった。

96年には、13年間続いた社会労働党から民衆党への政権交替が行われ、安定した政権のもとに緊急経済措置や国営企業の民営化など経済政策が推進され、経済状況は改善されている。

また、対外的にはEUを基調とし、中近東(特に北アフリカ諸国)、中南米諸国との伝統的外交関係重視、米国との関係緊密化およびアジア・太平洋地域との関係強化などを基本方針としている。

なお、わが国とは450年にわたる交流の歴史があり、伝統的に友好関係にある。

スペインの経済は、82年に社会労働党が政権を担当して以来、穏健な現実路線による経済政策を着実に実施し、特に84年10月の賃上げ抑制の政労使三者合意および86年のEC加盟後、外国投資が急増し、80年代後半は毎年5%台の成長率で経済成長が続いた。

90年代に入ると特にEC各国の同時不況に引っ張られる形で成長率が次第に減速し、89年以来16〜17%で推移していた失業率は、92年末には20%を超え、雇用情勢が深刻化した。

92年以降のセペタ安により、輸出競争力が増加し、観光収入も伸び、95年には9年ぶりに経常黒字を計上した。

 

 

 

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