1985〜95年の期間には、1人当りの実質GNPは年平均1.9%の割合で増加している。また、この期間の人口は僅か0.6%の増加に過ぎない。
オーストリアの実質国内総生産(GDP)成長率は、1985〜95年の期間に年平均2.5%の割合で増加しており、95年は2.0%、96年は1.6%の成長率となっている。
農業部門(牧・林・漁業を含む)は、1996年のGDPの1.5%を寄与しており、労働人口の7.1%がこの部門に従事している。
オーストリアは、国内需要食料の90%以上を生産し、余剰酪農品は輸出に向けられている。
主要作物は、小麦、大麦、とうもろこし、砂糖きびである。
農業生産は、1985〜95年の期間では、年平均0.5%の割合で増加しているが、94年は1.5%の増加を示したが95年は0.2%、96年は2.7%の減少となっている。
オーストリアは、第2次大戦による荒廃により穀物、ポテト、砂糖、食肉、ミルクなど食料が不足したが、戦後政府の積極的な農業振興策により、50年代後半に農業再建が行われ、現在ではほぼ自給、一部輸出可能な生産量を取戻している。
オーストリアは、国土の大部分が山岳部であり、耕地可能面積は約20%、牧畜可能面積も約30%の僅かな農林・牧畜面積のなかで、少数の農業人口により高い生産性をあげ、自給率を高めている。
主要農業地帯は、アルプス北部やドナウ川流域から東部低地の平原に接している地域であり、耕作や牧畜、果物やぶどうの栽培が盛んである。
工業部門(鉱業、採石業、製造業、建設業、電力業を含む)は、1996年GDPの31.6%を寄与し、労働人口の31.3%がこの部門に従事している。
工業生産(建設業を除く)は、1991〜95年の期間に年平均4.5%の割合で増加しており、93年は3.2%の減少であるが、94年、95年は各4.0%、3.4%の増加となっている。
1996年の鉱業・採石業は、GDPの0.4%を寄与し、労働人口の0.3%がこの部門に従事してしる。オーストリアで最も重要な鉱物資源は、鉄鉱石(鉄含有率31%、95年産出量210万トン)である。
この他に亜炭、石油、マグネサイト、鉛、銅などの埋蔵がある。
オーストリアは、鉱物資源に恵まれた地層が多く、鉱業は古くから発達していた。
豊かな地下資源のほかに、近年北アルプス山麓を東西に走る大規模な石油と天然ガス鉱脈が発見されている。
95年の原油生産量は104万トン、天然ガスは14億8,000万m3である。
鉄鉱石は、アイゼンエルツの露天掘りで有名である。鉄鉱石の生産量は94年164万トン、95年210万トンであるが、鉄鋼業が盛んなため、鉄鉱石をカナダ、スウェーデンなど海外からも輸入している。(石油以外の鉱物輸入額:97年25.8億ドル)