オーストリア
(1) 一般事情
オーストリア共和国は、中欧の東南部に位置し、北はドイツ、チェコおよびスロバキア、東はハンガリー、南はイタリアおよびスロベキア、西はスイスおよびリヒテンシュタインとそれぞれ国境を接して、海のない内陸国である。
国土面積は、83,858km2(日本の0.22倍)で、人口は807.2万人(97年)であり、首都をウィーン(人口160万人)におく。
オーストリアは地勢上、東アルプス山脈、アルプス山麓およびカルパチア山麓、東部丘陵地帯、ウィーン盆地、ボヘミアに接する花崗岩高地の5つの地帯で構成されており、人口の約65%はウィーンおよび周辺の盆地に集中居住している。
住民は殆どゲルマン系でドイツ語を国語としているが、クロアチア人、スロベニア人など少数民族はそれぞれの国語を使っている。
宗教は、国民の約78%はカトリック教徒で、約5%はプロテスタント教徒である。
オーストリアは全般に降雨量が多いが、気候の変化のほか土地の起伏に富み、植物の種類が多様で、欧州でも森林の多い国の1つであり、国土面積の46%が森林地帯である。
オーストリアは、国土が狭小であるが天然資源や観光資源に恵まれ、林業、金属工業は古くから発達している。
第二次世界大戦後は重要な産業部門の国有化を行うなど積極的な産業政策を行い、重化学部門を発展させている。
また、風光の美と歴史的背景からかもし出される国柄は、スイスと共に世界の観光地として注目されており、その観光収入は重要な外貨獲得源となっており、恒久的な貿易赤字を補填してきている。
オーストリアは、1955年に連合国との国家条約により独立回復し永久中立を宣言し、また95年にはECに加盟しているが、地勢的に中欧に位置して、従来東西ヨーロッパの中継国の役割を果たしてきている。
オーストリアの経済は、93年は世界的な経済停滞等から、経済成長率は0.5%のマイナス成長となったが、94年中旬から景気は好転して成長率は再びプラスに転じ、同年は3.0%の伸びを記録している。
また、95年はEU加盟による競争激化、シリング高による景気悪化のため、成長率は1.8%に低下したが、96年後半から回復傾向にあり、97年は2.5%、98年は3.1%の成長率を達成した。
世界銀行の推定によれば、1995年のオーストリアの国民総生産(GNP)は、2,165億4,700万ドル(93〜95年の平均価格による)であり、これは1人当りでは26,890ドルに相当する。