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ペラク州ルムートのPSC-Naval Dockyard Sdn. Bhd.(PSC-NDSB)はマレーシア王国海軍の艦船を海軍内部で修理、保守管理する工廠として、1984年以来フル操業中である。PSC-NDSBは現在、外国海軍や民間海運向けにあらゆる種類のサービスを提供している。

MSEは1976年に最初の拡張工事を実施し、欧州/アジア航路の貨物船、中東/日本・アジア航路のタンカーなどを中心に、大型船の入渠工事を引き受ける体制を整えた。SASHIPの大規模拡張工事は1982年に完了し、16,000DWT型の船舶の新造が可能になった。PSC-NDSBも、マレーシア政府から外洋哨戒艇27隻という、単一案件としては最大の受注を獲得、設備拡張を進めている。

現在マレーシア国内には、能力が大規模なものから小規模なものに至るまで、約70の造船所がある。外航船建造能力を備えたMSE、SASHIP、PSC-NDSB以外は、建造可能な最大船型が3,000DWT以下のもので、主として国内市場向けの船舶を建造している。第1表にマレーシア海事産業協会(AMIM)加盟の39造船所の現在の最大建造能力を示した。マレーシアの造船所で現在主として行われている作業は、鋼材の加工と機器の据付けである。造船所内部での設計作業は最小限で、資機材も大半は輸入に依存している。大手造船所を除けば、中小造船所で品質管理に取り組んでいるところはわずかに過ぎない。

マレーシアの大手造船所は、哨戒艇、タグ、カッター・セクション・ドレッジャー、内航タンカーおよび貨物船などを建設してきた。中小造船所はタグ、バージ、補助船舶、小型フェリー、漁船、攻撃艇などに特化しているが、大半は政府からの受注である。

マレーシア国内建造船舶のうち最大級のものとして、Malaysian International Shipping Corporation(MISC)向けに1988年に建造された16,500DWT型ヤシ油/ケミカル・タンカー2隻がある。これはSASHIPが受注したものだが、同社は熾烈な国際競争の末South East Asia Holdings (Shingapore)から受注に成功した、ハイテク掘削バージ「Al-Baraka」を1992年に建造した実績もある。

国内造船業が未熟とはいえ、マレーシア籍船の隻数は1986年の789から97年には2,766と大きく伸びている(その他に約33,000隻の漁船がある)(第2A2B表参照)。

造船業合理化のために、マレーシア政府からの新造船;修繕船受注価格を標準化することを主目的として、マレーシア造船工業会(ASROM)が14年ほど前に設立された。造船、その他の海事産業の拡大と共に、きびしさを増す業界の課題に対処し、世界と業界の趨勢に遅れないために、ASROMは体制の整備を断行し、97年7月にASROMはマレーシア海事産業協会(AMIM)と改称した。AMIMの活動の対象は従来からの新造船・修繕船事業のみにとどまらず、造機、プレジャー・ボート建造やマリーナ建設など、特殊な舶用資材、製品、サービスも含めた、一層広範囲にわたる海事産業に手を広げている。

 

 

 

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