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マレーシア

 

マレーシア造船産業─99年の展望─

 

1.0 序論

新造船、修繕船事業を含むマレーシアの海運部門は、マレーシアの海事経済にとって重要、不可欠な部門として政府から認知されてきた。わが国の急速な経済成長(1997年の深刻な経済危機以前)により、域内・国際貿易とも、その拡大が促進された。この成長により、海運、港湾サービス、造船、修繕船、その他の関連産業を通じて、経済における海上輸送部門の役割は重要性を増した。

マレーシアの海事経済とはすなわち、漁業、石油・ガス、海洋関連バイオ技術など資源開発系の部門、海運、港湾、造船、修繕船、その他無数の海事関連事業などサービス系の部門、両者を含む海事産業部門の多様な製品、サービスの生産と利用を意味する。

過去数十年間に、マレーシア経済は農産物、鉱産物の生産と輸出に依存する構造から、製造業を主体とする構造へと変容を遂げた。マレーシアの対外貿易、さらには国内貿易もある程度まで海運に依存しているので、わが国の海事経済の未来は主として貿易の未来に掛かっていると言える。

この産業は未だに揺籃期にあり、第2次工業化マスター・プラン(IMP2)では、15,000-30,000DWT型の自航バージ、セメント専用船、フェリーなど特定の用途の船舶建造と共に、小型艇の建造を海運関連の成長部門と位置づけている。

2.0 マレーシア造船業

マレーシアには海洋国として豊かな伝統があり、数百年にわたり小型艇の建造は、国家経済において常に重要な役割を果たしてきた。造船所は漁民や貿易商のために木造船を建造し、これらの造船所の一部は、今なお健在で33,000隻の漁船隊を支えている。

1970年代半ばまでは、マレーシア国内の造船能力は微々たるものだった。新造船需要の充足はシンガポール、その他の国に頼っていた。鋼船、アルミ艇の需要に対応する造船業の発展は近年のことと言える。

マレーシア最古の造船所の一つは、1912年にサラワクで創業したBrooke Dockyard & Engineering Works Corporationである。創業初期には、Brooke Dockyardは東マレーシアで官公庁の船舶、一般機械の修理を一手に引き受けていた。事業の発展と経験、技術の蓄積により、Brooke Dockyardは1968年から新造船に進出した。もう一つ歴史の古い造船所は、1953年にトレンガヌに設立されたRIDA Dockyard、これはマレーシア東海岸の伝統的小型艇建造事業者の技能の向上を目的とするものだった。今日ではMARA Shipyard & Engineering(Terengganuz)Sdn. Bnd.と改称されている。70年代と80年代には大手造船所数社が発足した。すなわち1972年創業のサバのSabah Shipyard Sdn. Bhd. (SASHIP)、1976年創業のジョホールのMalaysia Shipyard & Engineering Sdn. Bhd(MSE)などがその例である。

 

 

 

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