(3)中国国務院は上海の浦東地区にWaigaojian造船所を建造する計画を1999年9月に正式に承認した。新造船所は2基の建造ドック(480m×106m、360m×76m)を備え、第1期工事完了時点で1,050,000DWT、第2期工事が完了すれば1,800,000DWTの建造能力を保有することになる。これはCSSC最大というだけでなく、中国全土で最大の造船所となる。他にも造船所建設工事が進められているが、中にはVLCCあるいはケープサイズ撒積船建造用のものもある。
本年9月1日付けで、新造・修繕船施設の重複建設を禁止する規則が発効した。したがって今後、中国では、造船所の新設は必ずしも自由でなくなる。
(4)中国の造船所は昨年の韓国ウォンと日本円の下落により打撃を受けた。その結果、アジアの経済混乱により、中国造船業の手持工事量は大きく落込むことになった。しかしながら、今年に入ってパナマックス型とハンディマックス型の受注が大きく伸びて多数の中国造船所が潤い、大手造船所は2001年までの工事量を確保した。
一部の外国の報道機関は、中国が世界の大造船国の仲間入りすると見ている。しかし我々の見るところ、中国はまだ主要造船国とはいえない。中国の造船業はたしかに急速な進展を遂げたが、まだ発展途上の産業に過ぎない。造船能力と建造量において、日韓に遠く及ばない。中国で建造させる船種は主として在来型で、ハイテク船舶はまだ数少ない。舶用機器の国内自給率も比較的低い。特に生産性の面では、日韓欧の造船所の後塵を拝している。中国の造船所にとって最大の課題は、生産性向上、経営の強化、品質管理の改善により、国際競争に対処するのにリベートを払うなどの手段から脱却することである。
今回アジア太平洋地域における造船業の発展の状況を見るに、中国と同様、地域の多数の国が近年、造船業において大きな飛躍を遂げていることを知って大変喜ばしい。新興造船国の台頭と発展により、アジア太平洋地域は造船業の発展において新たな時代に入ることになるだろう。この目標に向かって、造船業における地域協力を一層密にして、21世紀におけるアジア太平洋造船業の一層の繁栄を目指そうではないか。