(2)中国船舶重工業集団公司(CSIC)
CSICは従来、中国船舶工業公司(CSSC)に属していた96の企業や機関を結集し、その従業員総数は170,000名に上る。傘下企業・機関には大連、天津、武漢、西安、重慶、昆明などの工業会社の他に、中国船舶研究開発院に属する研究開発機関の大半が名を連ねている。
CSICには下記のような特色がある。
─中国国内で最大の造船・修繕船基盤を保有し、300,000DWTまでの商船の他、大型オフショア機器の新造、入渠修繕が可能である。
─28の研究所、6カ所の本格的実験室に属する2万名の研究員、設計者が、艦艇、関連機器の開発に従事している。
─軍民用の主機関、補機を始め、艦艇用兵器および装備品の製造が可能な舶用機器38工場を結ぶ製造システムを開発している。
III中国造船業における最近の展開
(1)1970年代末期まで、中国造船業は専ら国内市場を対象とし、したがって技術的に先進造船国よりはるかに後れていた。79年以来、政府の改革開放政策に従って中国の造船所は国際市場に進出した。当初、中国の造船所は、主としてハンディサイズとパナマックス型の撒積船など、在来型の船舶の輸出を手掛けた。80年代末期からは、さらに複雑かつ大型の船舶を建造している。
1999年には、中国の造船所はいくつかの重要な受注を獲得した。
─CSSCの広州造船廠はスウェーデン船主から乗客定員1,000名、車輌走行路1,500mのRO-Paxフェリー(複数)を受注した。この種の船舶が中国に発注されたのは初めてのことである。
─待望のVLCC建造をイラン国営タンカー会社から受注した。300,000DWT型5隻で8月に契約調印。CISCの大連新廠が中国初のVLCCを建造することになる。
─南通造船廠は、日本の川崎重工業と提携して、中国遠洋運輸(集団)公司(COSCO)から超パナマックス型5,250TEU積みのコンテナ船2隻を受注した。
(2)1980年代には、臨海地区の大手造船所のうち、輸出向けに大型航洋船を建造したものはわずかに過ぎず、いずれも旧CSSC所属の造船所だった。ところが近年では輸出船を建造する造船所が続々と現われている。現在では30の造船所で、外国船主向けに5,000DWT超の航洋船を建造している。うち9造船所はCSSC所属、4造船所はCSIC所属、その他は地方造船所と「外国との合弁」による造船所である。