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フィリピンは貿易量、漁船隊とも大規模であるが、そのため造船業は主として修繕船が中心で、新造の比重がきわめて小さいことが指摘された。同代表は、372隻ある船舶のうち350隻が漁船で、輸出物資を運ぶ船はわずかに過ぎないことにも触れた。そのため、フィリピンの造船業は成長の余地が多分にあるという。

開発面では、海事産業の要請に応えて低コストの資材を供給し、その他のサービスを提供するため、海事産業局(MARINA)と関係民間部門が海事工業団地の開発を提案したことが報告された。MARINAはまた海外からの投資にインセンティブを与える立法措置を提案し、その他にも各種の勧告を行っている。海事関係の合弁事業は、フィリピンには2社しかないことも指摘された。ここでフィリピン代表は、プレゼンテーションの内容が昨年と重複する部分が多いので、すべてを繰り返す必要はないとして発言を結んだ。

 

サモア

サモア代表は議長代行に伝統的なギフトを贈り、主催国への謝意を表明し、今後も日本がこの会議を主催して欲しいとの希望を述べた。

サモア代表は、自国の報告が太平洋地域の他国の報告とは異なっていると述べた。サモアではフェリーが多用されていることを指摘した。また日本で新造されたフェリーについても触れた。同時に自国がさらに新造のフェリーを必要としていると述べ、関心のある向きは自国代表団に接触して欲しいと要請した。次いで5ページを参照して、ドイツの監督の下で中国で建造されるフェリーについても触れた。交換部品がサモアでは問題になっていることも明らかにした。1998年に新たな立法措置が行われたので、これについては自国の報告書の6ページを参照されたいと要請した。

 

シンガポール

シンガポール代表は全員に敬意を表し、主催国関係者に謝意を述べた。次いで自国の報告書が3部に分かれていて、最初に序論、次いで海事産業の各部門の具体的事項、第3に業界の展望について若干の考察が加えられていることを説明した。まず報告書の1ページに簡単に触れ、シンガポールは造船、石油掘削リグ建造、修繕船、強力な支援産業が完備し、世界でも有数な海事産業の中心地であることを指摘した。成長面については、28000名の労働力を雇用するシンガポールの海事産業が1998年には13%の成長を遂げたことが明らかにされた。5ページのグラフを参照して同代表は、シンガポールの海事産業の主力である修繕船事業が海事産業の生産高の57%を占めていることを指摘した。97年から98年にかけて、修繕のために来航する船舶の数が増加したという。シンガポールの修繕船事業はより高付加価値の修繕船を手掛ける方向に進んでいて、98年にはFPSO、FSOの大規模改造工事が完了した。新造船ではシンガポールは世界造船市場に小さなシェアを占めるに過ぎないが、特殊船の小規模な市場では強力なニッチを確保している。

 

 

 

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