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第6章 まとめ

 

6.1 研究の成果

 

本研究では、海上風と波浪に関する衛星リモートセンシングの現状を調べ、ERS1/2衛星とTOPEX/Poseidon衛星の観測データを用いて、台風域内の海上風と波浪の分布特性について調査研究を行った。

その結果、海上風に関しては、台風の進行方向に対して、右側は風が強く、左側は弱いという、従来言われてきたことを衛星データから確認することができた。しかし、その解析は定性的なものにとどまり、台風中心付近の風の分布を定量的に表現するモデルを提案するまでには至らなかった。

海上風向の等圧線に対する吹き込み角に関しては、本研究から得られた結果は必ずしも既存のモデルと一致しない。従来のモデルでは、吹き込み角を一定と仮定しているが、衛星データの解析結果によると、吹き込み角は一様ではなく、台風の中心と外側、前方と後方、右側と左側で異なる傾向を示した。この非一様性は、台風の移動効果を考慮しても説明できず、これは統計的な誤差に因るものか、台風の構造を現しているものかについては、今後の詳細な解析が待たれる。

台風域内の波高分布に関して、多くの新しい知見が得られた。例えば、移動速度が遅い台風の場合は、進行方向前方で波高が高く、後方で波高が低い。これに対して、速度が速い台風では、進行方向の右側が左側より顕著に波高が高いことが示された。また、台風中心から各方位の波高を比較すると、台風の勢力に関係せず、進行方向から時計回り45〜90度の方位で波高が最も高いことが示された。これらの波高分布の特性は、第2章で得られた海上風分布の特性に矛盾しない合理的な結果を示している。今後は、これらの分布特性を波浪モデル等により定量的に説明することが望まれる。

台風の右象限(危険半円)で波高が高いことは、目視観測データや波浪モデルの推算結果等から推定されていた。本調査結果はそれを裏付けるとともに、さらに詳細な台風域内の波高分布を示した。この調査結果はTOPEX/Poseidonの高度計データを基に解析したものであり、その信頼性は高いものと言える。

最後に、海上風と波浪を計測する衛星リモートセンシングの現状を調査した結果、今後ますます、これらの業務的な実利用が進むことが示唆された。

 

 

 

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